2年続きのサティ・イヤー。昨年は没後90年、今年は生誕150年。サティが日本で“再発見”されて以降、様々な画期があったけれど、時間を忘れてサティの世界を逍遥してみたいという欲求は、古い思い出を懐かしむのにも似た既視感を連れてくる。すぐれた演奏・上質の録音でサティが独奏ピアノのために書いた音の一切をひもとくにあたって、このセットは最上の手引きとなるはずだ。ティボーデが深い省察をもって奏でるサティの音楽には、夜の気配が濃厚に漂う。当時の空気感や時代の精神性までも含み込んで想像力をかき立てる。オリジナルの構成に、ロジェ&コラールによる連弾曲編も一枚追加された。