高橋アキによる再録三作目。単音(ソロ)から和音(合唱)という構成の聖歌風の《オジーヴ》、静謐な《サラバンド》など響きを愉しめる曲が続くが、ファツィオリにしては陰鬱な響きを醸し出しているのが《薔薇十字教団の最初の思想》。執拗なマルカートのコードの繰り返しにのっかるメロディ、これはトリップできます。《犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲》、トッカータ風の一曲目はテクニックをひけらかすような快速フォルテで弾いてる方もおりますが、テンポも音量も控えめな感じでアンニュイ。自身が台本も書いた音楽劇《メドゥーサの罠》ではシニカルなサティの一面がたっぷり堪能できます。