サティの音楽にはフランス近代の色彩感と、無機質な響きが同居する。その厄介な「2つの貌」をどう扱うかで、ピアニストの“質”が否応にも暴かれてしまう。このアルバムでホス・オキニェナは敢えて余分なニュアンスを排し、無機質な表情を際立させる。加えて遅めのテンポ設定。彼はフランス音楽という領域ではなく、近/現代音楽テリトリーの作品として扱う事で、サティ独自の美観や浮遊感を最大限生かすことに成功している。高名な《ジムノペディ》のスローながらも凛とした響きも良いが、《ひからびた胎児》などでのタッチの絶妙さは実に印象深い。このピアニスト、今後の活躍が楽しみだ。
スペインのピアニスト、ホス・オキニェナがサティ楽曲の無機質な表情際立たせ凛とした響きやタッチの絶妙さで聴かせるピアノ作品集
Sony Classical