クラシック変人大賞と言っても過言ではないサティですが、渋谷の展覧会も盛況に終了、晩年の穏やかな写真が全てを物語っていたように感じました。前作に続き使用されるピアノは、最近豊洲のホールに納入が話題となった、イタリアの職人が作る銘器ファツィオーリ。イタリアはピアノの祖クリストフォリを産んだ国でもあります。その濁りのない音色は“在る音楽”であるサティに向いている気がいたします。「歯痛で痛むウグイスのように」「作曲者による強制的なカデンツ」、そしてヴェクサシオンに続く「267回繰り返し」などユニークな譜面の指示も今回の曲たちにはあります。窓を開いて虫の音を友に。