過去、西洋音楽は機能和声や旋法といったロゴスに支配され、そのメソッドは現代においても音楽の大量生産に一役買って消費されている。その一方でサティに始まるとされる在る音楽、サウンドスケープの音響世界。余りにシンプルとも言えるマーク・ロスコの絵画、その空間をじつに体現したこの作品、ヴィオラは後半までほとんど明確な主旋律然とせず、神秘的な合唱、チェレスタ、独唱、打楽器は霊的なエーテルとなって静謐な、切り取られたキャンバスをつくりだす。深い瞑想によって得られる静寂。チャペルの隣に配置されたサティやケージの作品群も含め、“聴く”というより“体験したい”アルバム。

※試聴はこちら