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ソロとしても成功を収めたティムの歩み

 グループ解散と共に音楽業界から完全に離れることを明かしたマーティンソレンに対し、ティムはすぐさまソロ作『Secrets On Parade』(2000年)の構想を練りはじめたのだとか。以来、単独名義作ではハード・ロック/ポスト・グランジな作風を封印(というか、それはメンバー3人の化学反応の成果だったのだろう)。メロディーメイカーとしての才能を、バンド時代以上に遺憾なく発揮してきた。そして、デンマークでNo.1ヒットとなった2003年の『Honeyburst』や、フォーク/カントリー風味も飛び出す2008年の『Superior』、マイク・ヴァイオラらの援護を受けながらポール・マッカートニー『Ram』(71年)を曲順通りに演奏したライヴ盤『Pure McCartney』(2013年)など、あの手この手でポールのサウンドに接近している。

ティム・クリステンセンの2008年作『Superior』収録曲“Superior”
 

 一方、2009~2010年に期間限定で再結成した本隊から刺激を受けたか、クリスは自身のツアー・バンド=ダム・クリスタルズにスポットを当て、2011年に共同名義で『Tim Christensen And The Damn Crystals』を発表。久しぶりにラウドなサウンドを聴かせ、往年のファンを喜ばせたりもした。そうした路線は、今年に入って日本盤化されたマッズ・ランガーとのコラボEP『Side Effects』(2014年)の一部でも確認可能だ。ソロ・アーティストとしても成功したクリスではあるが、彼なりにディジー・ミズ・リジーの復活の準備を進めていたのかもしれない。 *山口智男

ティム・クリステンセン&ダム・クリスタルズの2011年作『Tim Christensen And The Damn Crystals』収録曲“Far Beyond Driven”