ジャンルを超えてゆく「旅」
2010年から始まったあいちトリエンナーレも、今年でいよいよ3回目。美術、映像、音楽、パフォーマンス、オペラなど、ジャンルを超えた芸術表現を扱う、世界でもちょっと珍しい国際芸術祭です。今年は8月11日~10月23日まで、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館ほかで開催。
2016年のテーマは、「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」。「キャラヴァンサライ」は、直訳すると「隊商宿」、要は旅の途中でひと休みする場所のことですね。そこに「虹」に象徴される多様な表現が集まり、さまざまな刺激と滋養を蓄えつつ、新しい方向へと向かうことがめざされているようです。
オススメしたい作家・展示はもちろん数多いんですが、紙面も限られていますので、ここでは音楽ファンにも興味深そうな演目を駆け足でご紹介します。
一番の注目作は、「プロデュースオペラ」部門の『魔笛』でしょう。作曲はモーツァルト、指揮は若手指揮者ではピカイチのガエタノ・デスピノーサ、そして演出・美術・照明・衣裳は勅使川原三郎! キャストに妻屋秀和と高橋維、ダンスは佐東利穂子と東京バレエ団と、そうとう見ごたえがありそうです。
Sachiko Mのディレクションのもと、「動き続ける」展覧会『OPEN GATE 2016』を催す「アジアン・サウンズ・リサーチ」は、大友良英がアーティスティック・ディレクターを務める「アンサンブルズ・アジア」の一部門。
パフォーミングアーツと国際展の2部門で登場するのは、小杉武久。前者では60年代から現在までの代表的作品が上演され、後者では2015年に発表された最新作を含むインスタレーション作品が展示されます。
能と現代音楽を融合させる試みを続けてきた青木涼子は、オレリアン・デュモン作曲の能オペラ『秘密の閨(ねや)』を上演。かつてないパフォーマンス作品が生まれそうです。
ダンスファンにオススメしたいのは、カンパニーDCA/フィリップ・ドゥクフレとイスラエル・ガルバン。今や日本でもおなじみのドゥクフレ、今回の『CONTACT』は、ゲーテの「ファウスト」を下敷きにしたダンス・シアター・スペクタクルとのこと。スペインから来日するガルバンは、『SOLO』と、フラメンコの歴史と自らの来歴を重ね合わせた『FLA.CO.MEN』の2作品をひっさげて登場します!
皆さんもぜひご自分の目でお気に入りを探してみてください。愛知でお会いしましょう!
LIVE INFORMATION
あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅
Homo Faber: A Rainbow Caravan
○8月11日(木・祝)~10月23日(日)[74日間]
主な会場:愛知芸術文化センター
名古屋市美術館
名古屋市内のまちなか(長者町会場、栄会場、名古屋駅会場)
豊橋市内のまちなか(PLAT会場、水上ビル会場、豊橋駅前大通会場)
岡崎市内のまちなか(東岡崎駅会場、康生会場、六供会場)
芸術監督:港千尋