ピーター・バラカンがオーガナイズするフェス〈Peter Barakan’s LIVE MAGIC!〉が、いよいよ10月22日(土)、23(日)に東京・恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール/ザ・ガーデンルームで開催される。同フェスに出演する吾妻光良と濱口祐自、高田漣、Reiが、バラカンみずから用意した出演者たちの映像を観ながら、各々のライヴの見どころを語り合った座談会もこれが最終回となります。今回紹介するのは、この座談会に参加した面々も含めてすべて日本人アーティスト。〈LIVE MAGIC!〉ならではのステージも観られそうなラインナップですよ! *Mikiki編集部
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Reggaelation IndependAnce
Revelation(啓示)とReggae、Independence(自立)とDanceを掛け合わせた造語から成るグループ名を持つ大所帯レゲエ・バンド。2008年、ダブ・バンドのCULTIVATORのトロンボーン・プレイヤーだった齋藤徹史を中心に結成。2009年に初ライヴを行い、以降は〈フジロック〉など数々の大型野外イヴェントに出演。2013年5月に、Shing02やワガン・ンジャエ・ローズなどが参加した初アルバム『NEW DAY』をリリース。最新作は、映画「ロッカーズ」に出演したことで知られるキダス・アイとのセッションを収めた『KIDDUS I meets REGGAELATION INDEPENDENCE』。
濱口祐自「この人たちのことは全然知らなんだわ。日本のバンドなんですか?」
ピーター・バラカン「そう。かなり本格的なレゲエ・バンド。この間の〈フジロック〉にも出演していました。3人のホーン・セクションがいて、かなりいいレゲエを聴かせてくれる」
高田漣「サックスがいいですね」
濱口「ええのう。僕はこんなん好きやね。これは美味しく酒が呑める!」
バラカン「フェスティヴァルだから、こういうバンドは絶対に映えると思う」
高田漣
ペダル・スティール・ギターをはじめ、アコースティック・ギター、マンドリン、ウクレレなどを弾きこなすマルチ弦楽器プレイヤー。YMO、細野晴臣、くるり、星野源といった面々のライヴ・サポートもよく知られる。サウンド・プロデューサーとして森山直太朗や藤原さくら、GLIM SPANKYといったアーティストたちのレコーディングに参加。最新作は、実父であるフォーク・シンガー、高田渡の没後10年となる2015年にリリースされた『コーヒー・ブルース~高田渡を歌う~』。
高田「すみません、この“鯵”は今回のライヴではやりませんが(笑)」
バラカン「ハハハ(笑)。今回の〈LIVE MAGIC!〉では、お父さんである高田渡さんのアルバム『ごあいさつ』を丸ごと再現してくれるんですよね」
高田「今回はアコースティック・スウィング調にアレンジするなどして、親父の曲が持っていた音楽的な要素を広げるようなことをやってみたいと思ってます。それぞれ曲の元ネタは、バラカンさんはきっとわかってくれるはず。これはボリス・ヴィアンの曲から持ってきたんだろうな、これは“The Wabash Cannonball”をベースにしてるんだろうな、とか、そういうふうにネタを意識的に見えやすくして、アレンジの幅を広げてみようかと思っていて」
バラカン「あのアルバムの曲にはほとんど元ネタがあるんだ」
高田「だいたいありますね。なので、そのへんでちょっと遊んでみようかなと。こういうイヴェントじゃないとなかなかそういうこともできないので」
バラカン「それはすごく楽しみです」
高田「僕はいろんなフェスやライヴに参加して、いろんなお客さんの顔を見てますけど、第1回の〈LIVE MAGIC!〉に参加したとき、自分と同じような音楽を好きな人たちがこんなにいるんだとわかって、良かったと感じたんですよね。どこの現場へ行っても、僕のようなタイプはずっとマイノリティーだと思っていたので」
バラカン「いや、間違いなくマイノリティーです(笑)」
吾妻光良「〈マイノリティー 思っていたより 多かった〉ってのもあるね」
一同「ハハハハ(爆笑)」
高田「単独で来日したアーティストのライヴで、すごくいい音楽をやっているけども、宣伝が上手くいかなかったりして残念ながらお客さんが集まらなかったりするのをよく目にするけど、〈LIVE MAGIC!〉ではあちこちでお客さんが熱心にステージを見つめる様子が見られてすごく嬉しかったんです」
バラカン「僕らが呼ぶアーティストたちは、そこまで知名度の高い人はそんなにいないじゃないですか。例外はあるけども」
吾妻&濱口「いやいやいや(笑)」
バラカン「でも、来てくれるお客さんたちはそういうこと関係なしにすごく盛り上がってくれて、とっても嬉しくなる。一昨年も去年もそうだったからね、今年もぜひそうなることを願っています」
EnTRANS
太鼓ドラマー、ヒダノ修一の呼びかけで2001年に結成されたインスト・ユニット。ロック、ジャズ、ファンク、ラテン、日本民謡を採り込んだ独自のサウンドと壮絶なライヴ・パフォーマンスが評判を呼んでいる。2008年にギターの井上堯之が脱退を表明し、2009年よりゴダイゴのミッキー吉野(キーボード)、カシオペアの鳴瀬喜博(ベース)、八木のぶお(ハーモニカ)という4人体制で第2期EnTRANSの活動をスタート。先頃初のスタジオ録音作となる『Be Our Guest!!!!』がリリースされた。
バラカン「今回ミッキー吉野を呼んだのはどういうことかというと、僕、ハモンド・オルガンがものすごく好きなんだけど、誰か呼びたいなと考えていろいろ探したんです。で、誰かから〈ミッキー吉野はどうだろう?〉という声があって、それはいいなと思った。それで連絡してみたら、やってくれることになって。当初はオルガン・トリオで出てもらうつもりが、先日ミッキーさんと会って話したときに、ギタリストの都合が悪いとのことでメンバー構成にちょっと悩んでいて、だったらときどきライヴをやるEnTRANSというグループで出るのはどうだろう?ということになった。ミッキーさんがキーボードで、ベースが鳴瀬喜博さん、ハーモニカが八木のぶおさん、そしてドラムの代わりに和太鼓を演奏するヒダノ修一さんの4人でやっているバンド。彼らは僕が求めていたファンキーなノリというより、もう少し落ち着きのある音楽をやっているんだけど、できればファンキーにやってちょうだいと頼んだところでね。このビデオはミーターズの“Hey Pocky A-Way”のカヴァーをやってます。スティーヴィー・ワンダーやゴダイゴなどいろんなレパートリーがあるみたいだけど、何をやるかはこれから決めるみたいで。なんかね、“ソーラン節”とかもやるそうで、それがムチャクチャ盛り上がるらしい」
Rei
卓越したギター・プレイとパワフルなヴォーカル・スタイルで幅広い支持を集めるシンガー・ソングライター。伊丹市生まれの現在23歳。幼少期をNYで過ごし、4歳からクラシック・ギターを始め、5歳でブルーズと出会う。2015年、共同プロデューサーにペトロールズの長岡亮介を迎えて初ミニ・アルバム『BLU』をリリース。2016年に入ってからは、テキサス・オースティンで開かれた〈SXSW〉など海外でのライヴを経験。この9月にサード・ミニ・アルバム『ORB』を発表したばかり。
バラカン「そして最後を飾るのはReiです。Reiは出演者のなかで毎年最年少」
吾妻「大丈夫だ、そのうち毎年最年長になるときがやってくるから」
バラカン「ハハハ(笑)。〈LIVE MAGIC!〉がそれだけ続けばいいね。で、こんなミュージック・ビデオを作っちゃって(笑)」
Rei「作っちゃいました(笑)。この“JUMP”という曲は、ブルーズとか自分が影響を受けた音楽の要素を詰め込んでいて、例えばひとつのセクションで3つのコードしか使ってなかったりする。聴こえ方はブルーズっぽかったりしないかもしれないけど、魂の部分はしっかりと受け継いでいるという、私なりのスタンスを示したつもりです」
濱口「カッコええのう!」
吾妻「サムピック使ってるんだ」
Rei「そう、サムピックなんです」
バラカン「サニー・ランドレスと一緒だ。あの人はサムピックとフィンガー・ピッキングを組み合わせたスタイルだね」
Rei「ピーターさんのDJを聴いていても、どこでこんな音楽を知ったんだろう?って驚かされることが多いんですけど、〈LIVE MAGIC!〉もどのステージを観に行っても発見があるし、満足が得られる。信頼感があるから、絶対にいい音楽が待っているに違いないって思えるところが〈LIVE MAGIC!〉の良さですね」
バラカン「ではもうひとつ、ビッグ・ビル・ブルーンジーのカヴァー“Hey Hey”のビデオも観てみましょう。これはオーストラリアのTV番組なの?」
Rei「はい。その番組の人も、いまオーストラリアではブルーズ・フェスティヴァルが熱い!と言っていました」
バラカン「この50年代のギターをずっと使ってるよね」
Rei「はい、56年製です」
バラカン「今年はラウンジで濱口さんとのセッションがあったりするのかな」
濱口「この曲、ちょっと練習しとくわ。これイケそうやわ」
バラカン「ジャック・ブロードベンドもいるし、ザバデュオもいるし、なにかおもしろいことがたくさん起こればいいなと思ってる」
★ジャック・ブロードベンドを紹介した本連載第2回はこちら
★ザバデュオを紹介した本連載第3回はこちら
吾妻「俺もラウンジってところをちょっと覗いてみようかな。〈呼んでないよ〉って言われちゃったりして(笑)」
Rei「ジャックの楽屋に乗り込んでいって、彼のスライドの弾き方を教えてもらいたいですね、絶対に」
吾妻「20歳でこんなに弾けるなんてね。俺が20歳の頃なんてもう……(ブツブツ)」
バラカン「初めて僕の番組に来てくれたのは2年前だっけ? あれが20歳のときだったか。濱口さんと知り合ったのもそれぐらいだったっけ」
濱口「それぐらいやのう。まだ東京に出てきてなかったときでね。それまではよそへ全然行かなんだんでね、僕。こうやっていろんな人と知り合えて、ほんとありがたい」
Rei「こういう音楽にはすごくシンプルな構造のものが多くて、だからこそ時代に左右されないんだと個人的に思っているんです。だからこういうイヴェントには偏見や先入観なしに参加したら、すごく自由な耳で聴ける音楽と出会えるはず。もちろん毎回参加している方にも来てほしいけど、こういう音楽に初めて触れるような人に来てもらえたらいいなと思っています。私自身も新しい音楽の出会いの場所としてすごく楽しめているので」
吾妻「いやぁ、しっかりしてますねぇ」
濱口「しっかり締めてくれたのう! スバラシイ!」
Peter Barakan's LIVE MAGIC! 2016
10月22日(土)開場12:00/21:30終演予定
10月23日(日)開場12:00/20:00終演予定
東京・恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール/ザ・ガーデンルーム
1日券 12,000円/2日通し券 21,000円
(中学生・高校生)学割1日券 7,000円/学割2日通し券 11,000円
※すべて税込・オールスタンディング、小学生以下無料(要保護者同伴)
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Cafe Havana Tokyo
NY発、アジア初上陸のキューバン/メキシカン・カフェダイナー
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