10月22日(土)、23(日)に東京・恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール/ザ・ガーデンルームで開催される、ピーター・バラカンがオーガナイズするフェス〈Peter Barakan’s LIVE MAGIC!〉。同フェスに登場する吾妻光良と濱口祐自、高田漣、Reiが、バラカンみずから用意した出演者たちの映像を観ながら、各々のライヴの見どころを語り合った座談会のPt.3をお届けします。今回も興味深いラインナップですよ! *Mikiki編集部
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ARVVAS
オスロ在住である異端のジャズ・ベーシスト、スタイナー・ラクネスと、ノルウェイの北極圏に住むサーミ族の伝統歌唱であるヨイクを継承する女性シンガー、サラ・マリエル・ガウプが組んだデュオ=アルヴァス。ダブル・ベースの深い響き、アメリカーナ的なメロディーライン、生き物や自然現象を模写する森の声。それらがときに共鳴し合い、ときにせめぎ合いながらエモーショナルな音空間を生み出していく。そんなジャンルを超えた新たなサウンドが、2015年にリリースされた初作『Remembrance』に記録されている。
ピーター・バラカン「こちらはノルウェイの2人組です」
吾妻光良「ベースとヴォーカルだけ!?」
Rei「おもしろい! コブシがすごい」
バラカン「(女性ヴォーカリストの)サラ・マリエル・ガウプは、北極圏に住む少数民族、サーミ族の出身。〈ヨイク〉というアイヌを少し連想させるチャントを聴かせるんですよ。向こうでは、風の音や動物の鳴き声といった自然現象を採り込みながら完全即興のスタイルでやっている。スタイナー・ラクネスはジャズをやってきたベーシストなんだけど、ソロ・アルバムではベースを弾きながらトム・ウェイツ風の声でアメリカーナのような曲を歌っている。それもすごくおもしろい」
Rei「カッコイイですね。いろんな音楽の要素が混ざっているのがわかる」
吾妻「ただ、そこまでおっかない顔して歌わなくてもいいのに(笑)。ルイ・ジョーダンに説教されそうだな」
バラカン「ハハハ。いっさい作り笑いをしないんです。彼女は基本的にトナカイの肉を毎日食べるらしい」
吾妻「それは間違いなく痛風になります!」
Rei「え、そうなんですか!?」
吾妻「Reiちゃんも肉ばっか食べてると、親指が痛くなるよ。気をつけたほうがいい」
Sara meets ichiro
ジャズ、ブルーズ、ロック、カントリーなどをバックグラウンドに持つシンガー・ソングライター、サラ・レクターとテキサス・スタイルのブルーズ・ロックを追求するギタリスト・ichiroによるコラボ・ユニット。アメリカ人の父と日本人の母を持つサラは、ジャズ・シンガーとして音楽活動のキャリアをスタート。2013年には自身のオリジナル6曲を収めた初作『Home』をリリース。2015年には人気ピアノ・トリオ、m.s.tがサポートを務めた2作目『You Are Loved』を発表している。
濱口祐自「僕はこの映像に出てくるライヴで一緒にやらせてもらいました。彼女はハーフなんかい?」
バラカン「サラ・レクターはお父さんがアメリカ人で、お母さんが日本人。ほとんど日本で育っているはず。歌うときは英語と日本語の両方ですね」
吾妻「まぁ両方できない人もいますけどね」
濱口「東京弁だけやの(笑)」
バラカン「ハハハ(笑)。彼女とは、ご主人のケン立石さんを通じて知り合ったんです。立石さんはヴィンテージ・ギターの商売をしていて、ウェス・モンゴメリーのギターとか、とんでもなくレアなものを持っていたりするんだけど……」
吾妻&高田漣「高そうだ!」
バラカン「彼女はInterFMの番組にも出ていたので、歌を何度か聴いていたんだけど、結構いいなと思っていて。彼女もラウンジで歌ってもらいます。今回はichiroというギタリストと一緒にやるんだけど」
吾妻「スティーヴィー・レイ・ヴォーンのようなギターを弾く人ですね」
バラカン「そうそうそう。彼と2人で出演します」
濱口祐自
和歌山県のディープ・サウス、那智勝浦在住の異能のギタリスト。2013年に久保田麻琴と出会い、2014年に彼のプロデュースによるメジャー・デビュー作『Yuji Hamaguchi from KatsuUra』を発表。翌2015年には2作目『Yuji Hamaguchi Going Home』をリリース。還暦を越えてもなお変わらず精力的にライヴ活動を展開しており、華麗なギター・テクと勝浦弁による人柄の滲むMCで集まったオーディエンスたちを魅了。全国各地に濱口祐自フリークを続々と生み出している。
濱口「僕かい。僕はもうええんやけどの。自分のはイヤなもんやの。ビール呑んどるし、もうええか」
バラカン「濱口さんはほんといろんなタイプの曲をやるからね」
吾妻「速いよね、このツー・フィンガー! これはすごい!」
濱口「そうかい! こういうのは得意やの」
高田「ドラム叩いてるのは(伊藤)大地くんだ」
濱口「漣くんは細野(晴臣)さんで一緒やもんのう。大地くんとは2回やらしてもろたけど、やりやすいわ。まず性格がええのう。優しい感じがするしよう。叩き出したら気合いが入ってくるし、その両面があるからええわ。あの人とやるのはどえらい気が楽やね。僕はこれまでの2回ともラウンジで弾かせてもらっとるけど、お客さんと一緒になれる感じがええね。大きなステージもええんやけど、僕はやっぱりお客さんとツレになれるのがいちばん嬉しいから」
バラカン「だから今回は、ラウンジだけでやりたいとリクエストがあって」
濱口「そうそう。楽しみなんや」
バラカン「吾妻さんはトリオとかでこういうタイプの曲をやることはある?」
吾妻「ここまで上手くできたことはないですけどね。ラグタイムのような曲はやろうとして、失敗して、ということの繰り返しですね。濱口さんは塚本功さんってギタリストを知ってる? 彼も一人で“Caravan”をやるんですけど、またちょっと違うアプローチでおもしろいんだ。途中でパンクみたいになっちゃったりして」
濱口「へぇ、おもしろそうやね。で、もう僕の話はええかい。照れくさいのう」
ZABADUO
シリル・ネヴィルを中心としたロイヤル・ザザン・ブラザーフッドの主要メンバーでもあったルイジアナ州ラファイエット出身のベーシスト、チャーリー・ウトゥンと、ブラジル・サンパウロ出身のパンデイロ奏者ラファ・ペレイラというまったくルーツの異なるふたりが結成したデュオ。ベースとパンデイロだけでどれだけ色彩感豊かな音世界が描けるか、という彼らの野心が結実した初フル作『Zabaduo』には、米南部らしい粘り気のあるリズムと柔らかなブラジリアン・グルーヴの豊かな出会いが刻まれている。
吾妻「これはベースと……」
バラカン「タンバリン」
Rei「なんじゃそれ!」
吾妻「タンバリン! ギャラは一緒なのかな……?」
バラカン「ハハハ(笑)。ベースはチャーリー・ウトゥン、タンバリンはブラジル人でアメリカ在住のラファ・ペレイラ。チャーリーは、サニー・ランドレスと同じラファイエット出身なんです。あ、そうそう、今回サニーのレギュラーのベーシストがスケジュールの都合で来られなくなったんだけど、〈誰かいいベーシストいない?〉って話になって、こんな人がいるよとチャーリーを紹介したら、なんと彼のグループに参加することが決まったんです」
一同「へ~!」
バラカン「ということで、山形と大阪で行う〈LIVE MAGIC! EXTRA〉にもこの2人を連れていくことにしました。あとチャーリーは、ネヴィル・ブラザーズのシリル・ネヴィルと、グレック・オールマンの息子であるデヴォン・オールマンたちがやっているロイヤル・サザン・ブラザーフッドのメンバーでした」
Rei「カッコイイですね~。タンバリンの人のノリがすごい」
バラカン「ザバデュオのことは、去年の〈LIVE MAGIC!〉に出演したジョナサン・スケールズ・フォーケストラを紹介してくれた人が教えてくれて、今年の春ぐらいに初めて知りました。すごくおもしろいなと思って、すぐにブッキングしちゃったんです。去年のジョナサン・スケールズと同じぐらいの反響を呼ぶんじゃないかと思っています」
Peter Barakan's LIVE MAGIC! 2016
10月22日(土)開場12:00/21:30終演予定
10月23日(日)開場12:00/20:00終演予定
東京・恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール/ザ・ガーデンルーム
1日券 12,000円/2日通し券 21,000円
(中学生・高校生)学割1日券 7,000円/学割2日通し券 11,000円
※すべて税込・オールスタンディング、小学生以下無料(要保護者同伴)
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【撮影協力】
Cafe Havana Tokyo
NY発、アジア初上陸のキューバン/メキシカン・カフェダイナー
東京都渋谷区猿楽町2-11 氷川ビル 1F
03-3464-1887
11:00~22:00(年中無休)
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