インタビュー

THE NOVEMBERS、最大の危機と祝福すべき未来を4人で語り尽くす(後編):巨大な絶望を乗り越えたバンド復活へのプロセス

Page 2 / 2 1ページ目から読む

あれほど美しいものを作ったのに、人生は変わらなかった

――なので、今回のアルバムはTHE NOVEMBERSのこれまでの集大成であり、到達点であり、出発点であるという感じです。いままでのTHE NOVEMBERSのいろんな側面が、すごく完成度の高い形で美しくまとまっていて。だからこそ、ここからいろんなものが広がって新たなものが生まれるような、そういう予感を感じさせるアルバムになっている。いまのお話を聞いていると、それは必然だったのかなと。

小林「そうですね。何より、いろいろな壁を乗り越えて作り上げたことへの感慨が、これまでで一番強かったので。ミラクルは起きたけど、まぐれはなかったよね? まぐれで出来上がったものじゃなくて、本当に(実力で)作り上げたというか。それが嬉しかった」

――その〈壁〉と関係があるかわかりませんが、小林さんはブログで、それまでの自分に疑問を持って、精神的な危機に陥った末に出来たアルバムだと書かれてましたね。

小林「本当にそうでしたね、実際」

――何があったんですか?

小林「どこから話そうかな……。ざっくりした言い方をすると、『Elegance』は物凄くイイ作品だし、昌巳さんが関わってくれたおかげで本当に美しいものが作れたと思って。僕、人生が変わると思ったんですよ。だって、こんなに綺麗なものを作れたんだから。それが、全然変わらなかった。そういう時に、これまでだったら鼻で笑って〈わからないやつはわからないでいい〉と思っていたんですよ。でもあの時は、満足度がかなり高かったぶん、ありとあらゆることにガッカリしてしまったというか……」

――思ったより反響がなかったということですか。

小林「そうですね、なかったし……去年はバンド結成10周年をテーマにいろいろやってきたんですけど、自分たちの10年ってなんだったんだろうとすごく考え込んじゃったんですよね。『Elegance』で自分たちは成長できたという自負があったし、綺麗なものを作れたことへの満足感もあったから、その反動で〈なんかダメじゃん〉と思っちゃったんですよね。自分の人生も間違ったんじゃないかとか、結構思い詰めてしまって。もうダメだ、どうしたらいいんだって。こんなに美しいものを作ったのに、自分の周りの人たちも、自分自身も幸せにできないと。それで昨年末にTHE NOVEMBERSでライヴ納めをしたのが地方だったんですけど、いろんな事故もあって、全然お客さんがいなかったんですよ。僕は30歳になった直後だったんですけど……たぶん悪いものをもらったんですよね、きっとそこで」

――あぁ。バッドなヴァイブレーション。

小林「そう、バッドなヴァイブレーションを。もしかしたら、自分の人生ももうダメかも……くらいの気持ちになってしまったんです。〈次のアルバムを作るぞ〉〈来年は11周年だから〉とか言ったところで、何を作ってももう手遅れというか。圧倒的にダメかもしれないという脱力感みたいなものにずっと支配されてたんです」

――うーん。

小林「悩むことや考えることって、自分の趣味だと思ってたんですよ。どんなネガティヴなことにせよ得るものがあって、それが自分が作るものにポジティヴに働いているという自覚があったので。悩むことはあっても、それは悩むために悩むというか、まぁ趣味ぐらいの感覚だったんですけど。でも、今回のやつはたぶん違うなって。〈死〉なんてことも頭にちらついて。それで思ったんですよね。あ、たぶん自分は運命に試されているなと。試されているんだったら、ちょっと考え方を変えようと思って」

 

先人が残したものを自分たちが更新しないといけない

――それからは?

小林「今年の春から対バン・シリーズ〈首〉でKlan AileenBurghROTH BART BARONだったり、若手のギグを観たり、BorisやMONOといったいろんな人たちの音楽に改めて触れたりしていくなかで、だんだん気分が前向きになってきた。〈首〉のラインナップに共通して言えるのは、ダークサイドから自分を救い上げてくれた人たちなんですよね」

★THE NOVEMBERS〈首〉過去の記事一覧

――ああ、なるほど。

小林「だから『Hallelujah』を作り終わった時点で完全に復活したてわけじゃなくて、徐々に回復していったんですよ。で、この間のThe Birthdayと共演した時に〈あ、自分抜けたわ〉という気持ちにようやくなれた。やっぱりこの人たちすごいな、カッコイイな、でも俺だって負けてないぞ、みたいな気持ちになれたんです。なんで自分は手も動かさないでモヤモヤしてたんだろうと。(The Birthdayが)ラスボスすぎて。強すぎるし格好良すぎる。でも、この人たちが残したものを自分たちが更新しないといけないわけじゃないですか。そういう前向きな気力が湧いたから」

The Birthdayと共演した〈首 vol.13 - Redder Than Red -〉のダイジェスト映像
 

――つまり『Hallelujah』の制作過程も〈首〉での対バン・シリーズも、言ってみればヒーリングやリハビリテーションのようなものでもあったと。

小林「結果的にそういうふうになってる。先に進むごとに、作っていくごとに、自分が一つずつ物事を信じ直していく時間だったし、一つ一つ解放されていく過程だった」

吉木諒祐(ドラムス)「僕も一緒だし、みんなもたぶんそうだよね。僕も30歳になって、これまで一度も考えたことがなかったのに、〈いつまでこういう生活ができるんだろう〉と思っちゃった。でも『Hallelujah』や〈首〉をやっていくことで、それまで悩んでたことについて全然考えなくなったんですよ。で、帰りに(小林と)2人で車に乗っていた時に、ふいにその話をされて。〈お前もか!〉みたいな(笑)」

――次に自分たちがやるべきこと、進むべき道は何か見えてますか?

小林「次に、という意味で言うなら、まずは近い目標として、11月11日にある新木場STUDIO COASTのライヴをさっさとソールドアウトにして、もっと次に行いきたいって気持ちがありますね。(STUDIO COASTで)過去2回ライヴをやってるんですけど、まだソールドアウトしたことがないんです。なので三度目の正直なんですよ」

――以前STUDIO COASTで観たライヴはすごく良かった記憶があります。当然それは超えて、なおかつ動員的にもソールドアウトにしたいと。

小林「ですね。これまでで一番いいライヴをその日、11月11日にやりたい。いい音楽を作るとか、いいアルバムを作るというだけじゃなくて、自分が最高と思えるもので、物凄くたくさんの人たちを感動させたり、人生を変えるくらいのものを残したいんですよ。それって、もっとすごいじゃないですか。何より、僕がそうやって人生を変えられてきたので。そういう存在にずっと憧れてきたけど、いまは自分たちがそういう存在になるんだというつもりでやってます」

2015年のDVD 「"TOUR Romancé" LIVE AT STUDIO COAST」に収録された“バースデイ”のライヴ映像

 


11th Anniversary & 6th Album Release Tour - Hallelujah –
2016年10月23日(日) 栃木・宇都宮HEAVENS ROCK VJ-2
2016年11月11日(金) 東京・新木場STUDIO COAST
2016年12月17日(土)台北The Wall

FOREVER ※小林祐介ソロ出演
2016年12月3日(土) 東京・渋谷7th FLOOR
共演:麓健一波多野裕文

★各公演の詳細はこちら

Bang On! vol.25
10月21日(金) 21:00~22:00 タワーレコード渋谷店5F
THE NOVEMBERSが全員集合してトークの模様を公開生配信!
★詳細はこちら

TOWER DOORS