3年半ぶりとなる9作目は2007年のファーストEP以来となるセルフ・タイトル。序盤には初期のTHE NOVEMBERSらしい80年代のニューウェイヴや90年代のオルタナティヴ・ロック譲りの楽曲が、この15年で磨き上げられたアンサンブルと音像によって、2020年代に力強く鳴らされている。全10曲の曲調はバリエーション豊富だが、どの曲の背景にも彼らが一貫して追い求めてきた〈美しさ〉があり、トランシーな高揚感を生むクラウトロック“Morning Sun”から、天へと飛翔するようなストリングスに包まれるラスト“抱き合うように”での大団円ぶりは、本作が特別な一作であることを雄弁に物語っている。