Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯による、最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉は、毎週火曜(歌謡)日に更新中。今週は第60回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【酒井優考】
井出ちよの “わたしの高校生活”
3776の井出さんの10分超におよぶ新曲。〈突然なくなった わたしの卒業式〉という歌詞を始め、ひたすら切なくじわりじわりと胸をえぐってきます。
新しい学校のリーダーズ “オトナブルー”
先日リリースされた新曲は、先月Mikikiでも特集したyonkeyの遊び心ある楽曲に、リーダーズらしい山本リンダみたいな昭和歌謡テイストが乗っかり、かつこのかわいいサビにダンス。いい!
ヨネコ “neon”
なんだろう、この曲も昭和歌謡な雰囲気もありつつ、ヴェイパーウェイブ的な要素もありつつ。オルタナティブシンガーソングライターの新曲。
笹川真生 “エイプリル”
消え入りそうなはかなさと壮大なスケールを併せ持ってて、すごく素敵です。
三浦大知 木下航志 チアキ 千晴 “愛と形”
〈NHKハート展〉に出展された豪華メンバーによる作品がYouTubeで公開。
Bar Exam “Fuckin' Jocks Asshole”
ラッキーオールドサン篠原良彰のレーベル〈万彰堂〉より、彼率いるバンド(?)の新曲。日なたでのんびり聴きたい。
Bagus! “春に抱かれて”
6人組ラヴァーズ・ロック・バンドの新曲。季節を実感するヒマもあまりなかったけど、この曲でようやく春が実感できました。
マントラ・ヒロカズ “夜光虫”
BurnQueとNewBiboujinという全くジャンルも音も違うバンドを掛け持つベーシストの、そのどちらにも似てないソロ曲。本当毎日窮屈だよね……。
aymk “shangrila”
新曲が発表されるたび紹介しているあゆ巫女さんの新曲。誰にも似てない冷たいトラックとウィスパーボイスは、なんかもう孤高な道を突き詰めてるような感じすらある。ソーシャルディスタンスなんて永遠に守りたくない!
MASS OF THE FERMENTING DREGS “うたを歌えば”
来月7インチ・アナログ盤とデジタルでリリースされる新曲のMVを、メンバーも知らないうちにスタッフが自宅で勝手に作り上げたそうな。この苦しい状況、うたで少しは楽になれるかな。
ペトロールズ “KDAR”
新曲がTEIEN ONLINE STORE(https://teienonline.com/ )でフリー・ダウンロード可能に(期限未定)。繰り返す〈喜怒哀楽〉というフレーズに、なぜか〈怒〉の感情が多く込められている気がするのは自分だけでしょうか。
八十八ヶ所巡礼 “幻魔大祭”
もうやだ! 暴れたい! 祭だ!
【天野龍太郎】
宇多田ヒカル “Time”
今週はやっぱりこの曲でしょう。どこまでもパーソナルな表現でもって、自由に〈ポップソング〉の枠組みを拡張していく稀有な音楽家。J-Popのど真ん中に彼女がいることは、なんて心強いことでしょうか。共同プロデューサーは小袋成彬さん。
TAMTAM feat. 鎮座DOPENESS “Worksong!”
心地いいアフロビートで私たちの生活を軽やかに肯定する〈ワークソング〉。さっと吹き抜ける風のような音の抜け感、音像が感動的なので、ヘッドホンで聴きたい一曲。コロナ・シチュエーションを映す玉ちゃんのビデオも最高! 鎮座DOPENESSとのコラボレーションもばっちり。TAMTAMのニュー・アルバム『We Are the Sun!』は5月20日(水)に配信スタート。CDは6月3日(水)に発売です。
GOODMOODGOKU feat. Kuro “Know Ya”
そのTAMTAMのヴォーカリスト、KuroがGOODMOODGOKUの新曲にジャンプ・イン。ここでのKuroちゃんの自由自在なフロウは、ソロ・アルバム『JUST SAYING HI』(2019年)でのそれよりもさらに進んでいて、完全に新境地。わくわくします。このビデオはアウトロがチョップト&スクリュードになっているのも最高。
波多野裕文 “ある会員”
People In The Boxの波多野さんの新曲。不思議なハーモニーの上を優雅に泳ぐ波多野さんのヴォーカル。まちがいなく〈いま〉の歌だと思います。Bandcampでも販売中。
Tenma Tenma “Glue Magic”
Local VisionsからリリースされたテンマさんのニューEP『ハウス』(いいタイトル!)から。やっぱりテンマさんの歌って色気がありますよね。甘く香るディスコ・ポップ。
SNJO “Up”
Local Visionsの若頭がニュー・シングルをリリース。AR三兄弟の企画〈有事のテクノコント〉のテーマ・ソングなんだとか。軽快なホーン、ビートとベースが生む絶妙なグルーヴ……ポップスのプロデューサーとしてどんどん才能を開花させていて、すごい! 作曲家/プロデューサーとしての提供曲も聴いてみたくなる、心躍る一曲。
姫乃たま “あ・ま・み”
絶望の淵から生還したという姫乃たまさんが新曲をnoteでリリース。甘くてキュートなこの曲の壮絶なバックグラウンドを思うと……。作詞作曲はスガナミユウさん、編曲と演奏は入江陽さん。
ミヤオウ “Yuragi Feat. Mellow Blush”
これはすばらしい! Local Visionsから作品をリリースしていた韓国のMellow Blushさんが参加した曲ということで聴いてみました。〈tiny dream pop〉といいますか、ドリーミーなサウンドとギターの爪弾きが気持ちいい。ミヤオウさん、気になる存在です。
NECO ASOBI “Clean, Clean (STAY HOME 80’s COVER #1)”
NECO ASOBIがバグルスをカヴァー! というわけで、悪いわけがありません。ニューウェイヴ/シンセポップへのまっすぐな愛を感じるナイス・カヴァー。〈Yu-Koh β版〉でのライブがよかったな、なんて思い出しています。
フリーダム昼子 “フレッシュアワー / Fresh Hour (Ver.7)”
mukushiこと西海マリさんがtiny popの記事で紹介していたフリーダム昼子さんの新曲。ミステリアスな詞とかすれた歌声が、めちゃくちゃ魅力的。いきなり刺々しいギターとシンバルの連打が飛び出してくるアレンジメントもすごくおもしろいです。
THE NOVEMBERS “薔薇と子供”
THE NOVEMBERSのニュー・アルバム『At The Beginning』、すでに手元に届いているファンもいるようです。めちゃくちゃ楽しみですね。THE NOVEMBERSがどこまで行ってしまっているのか……ちょっとした恐怖と強い期待を感じています。
yumbo “ロスト・マイ・ソール (Lost My Sole) (Live 5/18/2007)”
yumboからレアな録音がBandcampでどばっと届けられました。〈仙台の至宝〉というyumboの惹句はなんだかおおげさな感じがするんですけど、yumboの澁谷浩次さんはこの国の作詞家のなかでも指折りのすごい詩人だと思います。
MC漢 “I'm a ¥ Plant”
こういうときこそ聴くのがいいんだと思います。しびれるぜ。
【小峯崇嗣】
zzz “イルネス”
宅録でDIYで活動するSSW、zzz(ズズズ)が最新シングル『イルネス/春』を5月6日にリリース。そのシングルより”イルネス”をご紹介。
今回は、インディー・ポップさを前面に出したバンド・サウンドな一曲。もちろん彼の持ち前のゆるいポップさも健在ですが、メロウなギター・サウンドを取り入れたりととても新鮮で、新たな試みも感じられる楽曲に仕上げています。もう一曲の”春”は、アコギの弾き語りをiPhoneで一発撮りしたとのこと。
TOWER DOORSでは、zzzのさらなる魅力へ迫った映像インタビュー企画〈LAUNDRY〉にも出演してもらっています。気になる方はぜひこちらもチェックしてみてください!
Sahnya ”eisei”
新潟のSSW、Sahnyaが、ビートメイカーkragamusaとの共作で『EISEI』を先週リリース。本作のコンセプトは〈生命の誕生〉となっており、一曲目からラストまで壮大なスケールの作品に仕上がっています。彼女自身の楽曲はR&Bテイストな楽曲が多いですが、今作はエレクトロニックで近未来的サウンドの中で歌い上げています。
浦上想起 “新映画天国”
宅録音楽家、浦上想起による5月1日にリリースされた待望のニュー・シングル”新映画天国”から。奇想天外で色とりどりなサウンドから一転し、ジャズをベースにした滑らかでスムースな一曲に仕上がっています。やはり毎回彼の曲構成には驚愕してしまいます。
以前彼にはTOWER DOORSの〈6つの質問〉に出演してもらっています。こちらも併せてぜひチェックしてみてください。
a melting mood “アイゴト”
2018年に結成された5人組のバンド、a melting moodのニュー・シングル”アイゴト”。とろけそうになるほど流麗で甘美な歌声と、煌びやかでメロウなサウンドが溶け合った極上のシティ・ポップ・サウンドに仕上がっています。
Eulalie “The Weather Doll”
京都在住のボーカリスト/トラックメイカーのEulalieによるシングル”The Weather Doll”から。ミニマムなサウンドで作り上げたエレクトロニックなトラックと、中盤のゴスペル的なコーラス要素を加えた壮大な展開に舌を巻いてしまいます。Yaeji(イェジ)やPeggy Gou(ペギー・グー)のような才能も感じられます。
【田中亮太】
SEVENTEEN AGAiN “こんな日も”
突如届けられた新曲。〈答えを出さない〉ところに、このバンドの矜持はあるのだと思っていて、これは彼らのキャリアのなかでも、そうした態度がもっとも結晶しえた楽曲ではないでしょうか。ガレージで煙草をふかす3分間くらい、気持ちは揺れ動いたままでいい。
Ken truths “laid back”
UsのメンバーであるKen truthsが3曲入りのソロEP『wrong world』をリリース。RYON4をフィーチャーした“iiningen”など頭の2曲はエモ・トラップの趣が強いですが、ここでは弾き語りを中心に据えた“laid back”をピックアップ。荒涼とした風景を想起させるギターに乗る〈僕らまだ愛を知らない〉という言葉が妙に胸に残ります。リリースはUsとWaaterが主宰するコレクティヴ/レーベルのSPEEDより。先週末にリリースされたWaaterの32曲入り(!)新作『frozen』もぜひチェックしてみてください。
STRAM “Sinister Gallery”
上記のSPEED周辺の面々と、東京に新しいシーンを作っていきそうな(すでに作っている?)4人組、STRAMの新曲。そろそろ、うるさくてサーカスティックなロックが聴きたい――そんな気持ちのど真ん中に刺さる曲です。
Ratchild “亡霊とダンス”
〈Sleepless journey into sound & sarcastic〉ってフレーズがめちゃくちゃかっこいい。ダンス・ミュージックとして快楽性に優れているところも最高。