女の子を輝かせてくれるマジカルな歌声

 沼倉愛美や伊藤美来、麻倉もも、山崎エリイら女性声優のソロ・アーティストとしてのデビューが続くこの秋、シングル“God Save The Girls”で音楽活動をスタートさせる下地紫野もまた、注目すべき存在だ。

 「アイカツ!」の主人公のひとり、大空あかり役で知られる彼女。すでにユニットで歌手活動を行っている冒頭の4人に比べるとまだ歌の仕事は少ないながら、「アイドルマスター シンデレラガールズ」の中野有香役でのキャラクター・ソング“恋色エナジー”ではアキシブ系の流麗なポップソングを溌剌と歌いこなし、シンガーとしての素質を覗かせていた。

下地紫野 『God Save The Girls』 flying DOG(2016)

 その明るく澄んだ歌声の魅力は、「ステラのまほう」のオープニング・テーマに起用された今回のデビュー曲“God Save The Girls”でも存分に発揮されている。躍動感に満ちたストリングスがファンタジックな景色を作り出すポップなサウンドは、kz(livetune)の作/編曲によるもの。そこに〈女の子はみんな輝ける〉ことをキラキラとした言葉で綴った岩里祐穂の歌詞が加わって、聴く者を元気づけるポジティヴなナンバーに仕上がっている。女子高に通う無趣味な主人公が同人ゲーム部と出会い、夢中になれるものを見つけるアニメの内容にも寄り添った内容と言えそうだ。

 それとは一変して、夢を信じる強い気持ちをしっとりと歌い上げたピアノ・バラード“プ・レ・ゼ・ン・ト”、片思いの切なさを爽やかに表現した“せかいが終わるまえに”と、思春期の青い部分が滲むカップリングの2曲も上々。幼少の頃から歌うことが大好きで、CDデビューは叶えたい夢のひとつだったと語る彼女の等身大の歌が詰め込まれた本作は、きっとあなたの心にも素敵な魔法をかけてくれることだろう。

 

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