サイケだけだと思ったら大間違い! UKロック好きを唸らせる、これがへヴンリーの真骨頂!!

 ロンドンを拠点とし、四半世紀以上に渡ってUKロック・シーンを盛り上げてきたヘヴンリーテンプルズのブレイク以降、〈サイケの総本山〉的なイメージばかりが先行している感もあるが、純粋にグッド・メロディーを紡ぎ出すオリジナリティーのあるアーティストならば、音のテイストは問わない……といったスタンスは、実は今も昔も変わらない。

THE WYTCHES All Your Happy Life Heavenly/HOSTESS(2016)

 そんなレーベルの姿勢を反映してか、看板バンドたちによる新作はどれもユニークな出来に。まず、サイケ人気を牽引するブライトン出身のウィッチーズが放った2作目『All Your Happy Life』。メタルを影響源にブラック・サバス顔負けのドゥーミーな音を披露していて、まさかのダーク&ヘヴィーな変身ぶりには腰を抜かした。

 

TOY Clear Shot Heavenly/MAGNIPH/Hostess(2016)

 続いて、バット・フォー・ラッシーズとのコラボも記憶に新しいトーイは、デヴィッド・レンチと初めてタッグを組んだ3作目『Clear Shot』でシンセの比重を増やし、クラウトロック的なループと白昼夢のような心地良いハーモニーを同居させることに成功。

  

HOOTON TENNIS CLUB Big Box Of Chocolates Heavenly(2016)

 また、リヴァプール発のフートン・テニス・クラブも、ビル・ライダー・ジョーンズ(元コーラル)からエドウィン・コリンズ(元オレンジ・ジュース)にプロデューサーを代えて2作目『Big Box Of Chocolates』を発表したのだが、ここでのノイジーかつ粗削りなギター・サウンドとヨレヨレな歌声は、〈ラーズmeetsペイヴメント〉なんて前評判も頷ける中毒性の高さでクセになりそうだ。

 年明けにはいよいよテンプルズが待望の2作目を届けてくれるとか。前号で紹介したパロッツを皮切りに怒濤のリリース攻勢を仕掛けるへヴンリーから、この秋冬は目が離せそうにない。