シャムキャッツが11月16日にリリースした新EP『君の町にも雨はふるのかい?』の全国ワンマン・ツアーが11月26日(土)からスタート! ここでは、同作に収録された5曲から今回のツアーがどんなものになるのかを予想してみたい。
冒頭を飾る“常習犯”は、オールディーズ風な頭打ちのリズムとパワフルなウォール・オブ・サウンドが重なった、まるで〈シャムキャッツ流ナイアガラ〉とでも形容したくなるポップ・ナンバー。ストレートなバンド・サウンドに見せつつも、随所に挿まれるファンタジックなシンセなど、このバンドならではのヒネリが効いている。
そして2曲目の“すてねこ”は、既発曲を引き合いに出すならば“アメリカ”や“なんだかやれそう”などに通じる勢いに溢れたロック・チューン。落ち着いたヴァースから一気にバーストするコーラスの強弱にグランジ的な突破力があり、終盤に登場するフロントマン・夏目知幸のやけっぱちなヴォーカリゼーションは、バンドの新しい武器になりそうな予感がある。
続く“洗濯物をとりこまなくちゃ”は、歩くテンポで紡がれるリズムとラテンのムードを醸すアコースティック・ギターの音色が魅力的。前シングル”マイガール“のリリース時に彼らがタワーレコード新宿店でインストア・ライヴをやった際は、夏目が珍しくアコギを演奏しており、彼は〈ちょっとトーキング・ヘッズみたいでしょ〉と話していたが、個人的にはその発言の延長線上に出来た楽曲のように感じた。ギターのフレット・ノイズを効果的に使うなど、音作りの面では趣向を凝らしつつ、あくまで人懐っこく仕上げている。
そして4曲目の“Tokyo Dragon”はギタリストの菅原慎一が作詞・作曲とメイン・ヴォーカルを担当。“洗濯物をとりこまなくちゃ”の軽やかさとは真逆の重たいファンクネスに、初期の彼らが持っていた反骨心を思い出したりも。そして最終曲の“デボネア・ドライブ”は、『AFTER HOURS』以降にシャムキャッツのトレードマークとなった夏目の甘い歌声を活かしたバラード。『AFTER HOURS』のラストを飾った“MALUS”に近いメロウな雰囲気ながら、“常習犯”と同様に、よりスケール感がアップしたサウンドと深い反響音が耳を引き、その奥深さと力強さはフィル・スペクターの往年の名曲を彷彿とさせる。
以上の5曲から見えてくるのは、現在のシャムキャッツは『AFTER HOURS』『TAKE CARE』の時のように、1つのモードに固まっているのではなく、むしろさまざまな試行錯誤を楽しむチャレンジングな期間に入っているということ。しなやかなバンド・アンサンブルをさらにビルドアップさせつつ、初作『はしけ』前後の〈何物にも似たくない〉というアティテュードを反映した実験精神に、いままたフォーカスしようとしているのではないか。
カラフルな5曲を収録した『君の町にも雨はふるのかい?』を聴く限り、今回のツアーでのシャムキャッツのパフォーマンスとセットリストはポジティヴな意味で散らかったものになりそうな気配がある。バンドがさまざまな挑戦を行い、オーディエンスはそのスリリングな振る舞いに心を動かされる……といったエキサイティングな場になることを期待したい。
なおMikikiでは、近日中にEP『君の町にも雨はふるのかい?』に合わせたインタヴュー〈シャムキャッツの10曲〉を公開予定。バンドにとってエポックメイキングなものだったという10曲について、ライター・北沢夏音を聞き手にたっぷりと語ってくれている。多くの人気曲を持つシャムキャッツがみずから選んだ10曲とは?――こちらの記事も楽しみにしていてほしい!
ワンマンツアー 2016-2017〈君の町にも雨はふるのかい?〉
2016年11月26日(土)
千葉・千葉LOOK
2016年11月27日(日)
宮城・仙台CLUB JUNK BOX
2016年12月10日(土)
新潟・GOLDENPIGS BLACK STAGE
2016年12月11日(日)
石川・金沢vanvan V4
2016年12月17日(土)
愛知・名古屋CLUB QUATTRO
2016年12月18日(日)
大阪・umeda AKASO
2017年1月21日(土)
福岡・福岡graf
2017年1月22日(日)
広島・広島4.14
2017年1月28日(土)
北海道・札幌Colony
2017年2月3日(金)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
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