(左から)藤村頼正、カワサキケイ、大塚智之、中野智基
 

2020年6月30日にシャムキャッツが解散を発表してから、早くも半年が経とうとしている。メンバーだった夏目知幸はコラージュなど音楽以外の創作活動を精力的に行い、菅原慎一はアジア音楽の紹介者としてさまざまなメディアに登場しているが、そこで気になっていたのは彼らが運営していたレーベル、TETRA RECORDSの今後についてだ。バンドが解散したいま、はたしてTETRAはどうなるのだろうか?

と思っていた矢先に、彼らの動きが活発化してきた。まず、11月中旬にTETRAが根城にしている代々木上原のギャラリー、hako galleryにてレーベルのポップアップ・ショップ〈TETRA RECORDS SEASON SHOP〉を開催。同時に新鋭シンガー・ソングライター、カワサキケイのカセット『ゆらめき』をリリースした。また、2021年の1月1日(金)に、Hi,how are you?のニュー・アルバム『High School, how are you?』の発表を控えている。

そこで今回は、レーベルの現在地を訊くべく、TETRA RECORDSのオフィスを訪ねた。インタビューに応えてくれたのは、レーベルの運営に携わる元シャムキャッツの2人――大塚智之と藤村頼正、実務的な作業を担うスタッフの中野智基、さらにカワサキケイの4人。やはり話は、あのことから……。

 


〈解散〉しかなかった

――まずはシャムキャッツの解散について訊かないわけにはいきません。あらためて理由などを話してもらえますか?

藤村頼正「もともとメンバーに疲れが溜まっている感じだったので、2020年は少しおやすみしようという雰囲気があったんだよね」

大塚智之「シャムキャッツが自分たちでレーベルを運営するうえで、ライブと音源とそれにまつわる諸々という3つを回しながらバンドを提示していったんだけど、そのサイクルが早すぎた。その負荷やストレスみたいなものは、前々からあって。とはいえお金も必要だからやってはいかなきゃいけなかったんですけどね。ただ、〈2020年は少しゆっくりやろうよ〉となっていたんです」

――スローペースで活動していくという方針から、解散という大きな決断に舵を切ったのはどうして?

大塚「うーん、今年に入ってからいろいろとメンバー内でもあったし……。まぁそこをいちばん聞きたいのかもしれないけど(笑)。まずシャムキャッツとしての活動は一回止めようとなったんだよね。ただ、それを表向きにどう伝えるべきかとなったときに、メンバーの意見がなかなかまとまらなかった。別に活動休止でもよかったし、それ以外の言い方でもよかったのかもしれない。ただ、自分たちが納得できて、しかもお客さんに嘘のない言葉がなんなのかは、みんなが迷った。僕はそれを〈解散〉だと考えたから、みんなを説得したというか。決めたのは発表する1か月くらい前でしたね」

藤村頼正
 

――なるほど。じゃあ、わりと大塚さんが解散でいこうと主張したわけですね。

大塚「っていうと僕が悪者みたいですけどね(笑)。僕は解散がいちばんいいというより、できるだけ客観的に見ようとしたうえで、それしかないなと思ったんです」

藤村「そうですね」

――では、解散してみていかがですか?

大塚「自分は意外に引きずってるなぁと(笑)。解散したらシャムキャッツがあったからやれなかったことをやれるし、新しい自分も発見できると思ってたけど、意外に腰が上げられないところもあって」

藤村「俺は普通にシャムキャッツのファンなので、引きずってますよ。普段からシャムキャッツの動画を観ていますからね(笑)。〈森、道、市場〉でのライブ映像とか」

シャムキャッツの2019年の〈森、道、市場〉でのライブ映像