騒動と歓喜と悲劇に溢れたBiSのディスコグラフィーをプレイバック!
プー・ルイ、ヒラノノゾミ、ナカヤマユキコ、ヨコヤマリナのオリジナル4名によるデビュー・アルバム。ジャズ・ファンク風からテクノ・ポップ、変拍子パンクまで曲調の幅広さが当時の試行錯誤ぶりを窺わせるが、全体の雰囲気はまだどことなく牧歌的なのがおもしろい。SCRAMBLESの前身にあたる〈めんたいcrew〉を仕切って松隈が全編をプロデュース。
ヨコヤマリナ脱退を受け、3人体制で仕上げた初めてのシングル。いずれも完成度の高い楽曲が並ぶも、いわゆる〈全裸PV〉がバズった表題曲はグループの知名度と悪名を爆発的に広げ、過激な仕掛けはここから顕在化していくことになる。
テラシマユフ加入後の初シングル。リリースの前日には早くもLIQUIDROOMでのワンマンを敢行するも、そこでナカヤマが脱退を発表。以降もドラマティックな意味と重みをどんどん積み重ね、現BiSでも定番となっているクソエモい代表曲だ。
リリース前の試みで内外に負荷をかけたHMV限定シングル“IDOL”を挿み、ミチバヤシリオとワキサカユリカが加入してのメジャー・デビュー・シングル。ワキサカ作詞の人気曲“歩行者天国の雑踏で叫んでみたかったんだ”はここでしか聴けない。
メジャーでの初作となるセカンド・アルバムは満身創痍の季節を象徴する名盤に。“nerve”から“IDOL”までインディー時代の定番を当時の5人で再録しているのも聴きどころだが、トランシーな問題曲“ASH”や美メロで駆け抜ける“I wish I was SpecIaL”、極上の泣き節“hitoribochi”など段違いの厚みを得た新曲がどれも素晴らしい。いま聴くとBiSH盤にも近いバランス。
両国国技館でのワンマンで脱退を発表したワキサカと、リリース後に脱退したテラシマの両名にとって最後の参加シングル。表題曲は初めて日高央(THE STARBEMS)が作曲するも、カップリングの“Hide out cut”は松隈渾身の劇的な名曲に。
テンテンコ、カミヤサキ、ファーストサマーウイカ加入後の初シングルは、〈ハメ撮り〉風のMVもしっくりくる哀愁ラウドな逸品に。初のオリコンTOP10入りを松隈ケンタ曲で達成したのも意義深い。テンコ作詞の“MURA-MURA”は津田紀昭(Kemuri)が作編曲。
このシングルを最後にミチバヤシが脱退。新BiSの合宿オーディション最後にキカがいきなり熱唱した“Fly”は歌謡性の高さをエモさに転じた人気曲。カミヤ作詞で難波章浩が作曲した“Hi”もスタンダードでデジタル・パンクな明るさが光る好曲だ。
コショージメグミ加入後の初シングルは、上田剛士(AA=)の作編曲による爽快でメジャー感のあるインダストリアル突破チューン。ここでしか聴けない“ODD FUTURE”は終局を予感させながら胸に迫る。本作リリースの20日後には解散を正式発表。
解散を前にして人気が上昇し、メジャーなカルトとしてのえげつなさに楽曲の粗暴なキレが追いついたサード・アルバムだ。GLAYのHISASHIがギターで参加したバラード“primal.2”を導入にして、Dorothy Little Happyとの“GET YOU”から外部作家を招いたシングル群、6人全員の詞作までを織り込み、統一感のある闇鍋といった雰囲気。シメはイエモンの“プライマル。”。
6様の伸びやかな歌い口と晴れやかな曲調で爽快に走り抜けるラスト・シングル。水着とビーチのMVも含め、最後の最後にいわゆる類型的な〈アイドル〉をやってみた感じがBiSらしさでもあるのか。MVの最後には〈to be continued...〉と表示。
〈もう会えないアイドル 終末ヒロイン〉を謳って解散直前に出たベスト盤。“ただ泣いて”というグッとくるエクスクルーシヴもありつつ、初期からの既発曲も6人の新録で収まっている。その意味では〈BiS2〉とも聴き比べたい内容だ。