アグライアQやクイケンQ、ドビュッシーQと同じリヒテンタールのトランスクリプションをベースにした弦四版。モーツァルトの息子カールと親交のあったP.リヒテンタールは、交響曲第40番・第41番の弦楽五重奏版なども編曲している。編成が小さくなり、フルオケ+合唱ではないが故の物足りなさは当然出るものの、シンプルな四声体で骨格が示されるだけでさすが楽聖、と思うところもあるし、そこが編曲の妙。弦楽版ならではの聴きどころとしては冒頭の入祭唱、特にキリエの二重フーガの純音楽然としたところからの続唱ディエス・イレへのつながりは盛り上がるし、絶筆と言われるラクリモーザはただただ美しい。
ヴァイオリニスト齋藤真知亜がNHK交響楽団若手精鋭メンバーを率いたマティアス・ストリングスによる『モーツァルト:レクイエム 弦楽四重奏版』
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