ラッパーとして自己探求的な作品を放ってきたチャイルディッシュ・ガンビーノが、表題の通りに覚醒し、ファンクのフォースを纏って現代社会に革命を問う……といった思想の話はさておき。『Maggot Brain』を連想させるジャケと同様に、ウェストバウンド時代のファンカデリックを彷彿とさせる妖しいブラック・ロックの迫力にまずは圧倒される。そしてブーツィー“I'd Rather Be With You”を引用した“Redbone”や、呪術的なコーラスを従えた“Boogieman”などでジョージ・クリントンジュニー・モリソン風の粘着ヴォーカルを披露する様は、Pファンク軍団の先達が憑依したかのよう。ファンクを軸にしてさまざまなブラックネスを溢れさせる音像には、プリンスディアンジェロのシルエットさえ浮かび上がる。ファンカデリカルで集大成的なアルバムをいきなり作り上げたのは凄いとしか言いようがないし、クリントン総帥のお墨付きも得た本作だが、こんなのを先に出されてしまった総帥の新作がどうなるかが気になる。