小泉今日子さんの“PROCESS(Dub's Dub)”が人生でも屈指の好きな曲なのですが(レコードのみでのリリース)、8分のイントロを経ていきなり〈あなたは何も聞かないで ずっと待ってくれた そんな強さを初めて知ったの~〉というアカペラが挿入されるんですね。ポップスをこんなにうまくクラブ・ミュージックに変換できているリミックスが他にあるんだろうかと毎度思いますし、上品さとちょっとしたギャグセンスみたいなのがかなりいい感じに混じり合ってる気がします。今回はそんなプロセスな一枚からR&B寄りの新譜をまとめて3枚お送りしたいと思います。

 

SAMPHA Process Young Turks/BEAT(2017)

 年頭からいきなり年間ベスト候補に豪速球が投げ込まれました。過去曲の“Can't Get Close”、ずっとホンマにいい曲やと思うんですけど“(No One Knows Me)Like The Piano”はまた違ったゴージャスさで素敵です。アルバム通してのさまざまなヴォーカルのバランスが美しく絡み合ったプロダクションには脱帽せざるを得ません。凄すぎました。

 

KEHLANI SweetSexySavage Atlantic/ワーナー(2017)

 ミックステープ時代の作品がとても好きだったのでよく聴いており(“As I Am”最高ですよ)、数年前から活動していた人ながら、オフィシャルの販売作としては本作がデビュー・アルバムとのこと。先行シングルの“CRZY”を聴いてちょっと思ったよりポップな感じになるんかなと思いきや、全体的にはミックステープからの作風を引き継いだシンプルかつ聴きやすいアルバムです。わりと全編にわたって好きかも。

 

土岐麻子 PINK rhythm zone(2017)

 1曲目、ボン・イヴェールばりのヴォイス・エディットでいきなり度肝を抜かれました(歌詞でも〈福音〉って言ってるし)。トオミヨウ氏のプロデュースが冴え渡った全編の仕上がりはとても上品。トオミさん、本作で初めて名前を認識したのですが、すごいプロダクションです。“Peppermint Town”なんかでの放り込み具合もタハァ~といった感じです。同じくニュー・アルバム『LIVE & LEARN』が素敵だったG.RINA氏作曲の“脂肪”も全体の流れに効いてます。

 


tofubeats(トーフビーツ)
90年生まれ、神戸在住のトラックメイカー。自身の『POSITIVE』はもちろん、G.RINAや矢野顕子SALUSUEMITSU & THE SUEMITHスカイラー・スペンスらの楽曲を手掛けています。待望の新曲“shoppingmall”の配信に続き、毎週土曜放送のTVアニメ「クラシカロイド」の楽曲集第2弾としてリリースされたばかりの『クラシカロイド MUSIK Collection Vol.2』(ムービック)には“みかんゾンビマーチ”を提供しています。本人の次作も鋭意制作中につき、〈tofubeats.persona.co/〉のチェックも引き続きお忘れなきよう!