昨年に片割れのジョナサン・ラドーがホイットニーやレモン・ツイッグスのプロデュース仕事で名を上げたこともあり、かつてないほど大きな関心を集めているLAのサイケ・ロック・デュオ。3年ぶりの新作はそのレモン兄弟やマシューE・ホワイト、フレーミング・リップスのスティーヴン・ドローズも援護し、さらに40人編成のオーケストラまで巻き込んで誇大妄想狂的なコミック・オペラを展開している。〈Hot Stuff〉ならぬ〈Hot Flash〉なシャウトが飛び出すディスコ気分の“Follow The Leader”や、芝居じみた低音声も可笑しいちょっぴりELO風な“Mrs. Adams”など粒揃いの楽曲が並ぶなか、とりわけルーファス・ウェインライトを彷彿とさせる先行シングル“America”の目まぐるしい転調は鳥肌モノの素晴らしさだ。びっくりするくらい豪奢な作りながらも、前作のラスト曲“Hang”を表題に掲げ、地続きで自分たちの成長を誇示している様子がファンとしては嬉しい限り。