伝統的でありながら、現代的~アイルランド音楽で世界を魅了し続けるパワー
アイルランド出身のケルティック・ウーマンは、2005年に世界デビューした。プロデューサーの「ケルトの美しい音楽を女性ユニットで世界に広めたい」というコンセプトから、ソロで活躍するシンガー4名とフィドル奏者1名によって結成された。そのユニークな編成と牧歌的な素朴さ、美しい歌声、さらには5人の親密さが伝わる和やかな雰囲気のパフォーマンスでも愛された。とりわけアイルランド系移民が多いアメリカで熱烈歓迎されて、全米ツアーは、毎回数か月もの長期に及んだ。
そのために家庭があるメンバーの負担は大きく、メンバー交代を余儀なくされてきた。結成から10年以上を経た昨夏、最後のオリジナル・メンバーがユニットを去った。そのニュースにおそらく今後の展開を心配したファンもいたかと思うが、新たなメンバーを迎えた新編成で次なる章を開くことになった。新作『ヴォイセズ・オブ・エンジェルス』は、その新編成でレコーディングされた初めてのアルバムになる。
メンバーは、2014年のアルバム『エメラルド』から参加した透明感溢れる美しいヴォーカルのスーザン・マクファーデン。クラシックを学び、オペラの訓練を受けてきたマレード・カーリン。ゲール語のネイティヴスピーカーで、アルト・ヴォイスのイバ・マクマホン。そして、ヴァオイリン奏者で、ハープも演奏できるタラ・マクニールの4名。いずれもミュージカルやオペラ、コンサートのサポート等で多くの経験を積んでいる実力派だ。はじめは、シンガーが3名と少ないような印象を受けるかもしれないが、聴けば、ソプラノとアルト・ヴォイス、さらにクラシックの発声が結合されることで、表情豊かな歌が生まれているのがわかるはずだ。それが新編成の強みである。
そして、ケルティック・ウーマンにとって大切なのがデビュー以来、ファンに愛され続けているレパートリーがあること。ユニットのコンセプトにもつながることだけれど、それもあってアルバム収録19曲のうち、“ドゥラモン”や“アヴェ・マリア”をはじめ13曲もが再レコーディングとなる楽曲だ。そこから透けて見えるのは、アルバム『ヴォイセズ・オブ・エンジェルス』が新編成の4名からファンに向けての挨拶状だということ。その他に今回“マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン”や“タイム・トゥ・セイ・グッバイ”といったヒット曲が新たにレコーディングされたが、これらは、きっと今後定番曲に育っていくことだろう。
すでに3月2日のフロリダ州レイクランド公演から全米ツアーがスタートし、好評を得ている。ツアーは、6月まで続き、9月に待望の来日公演が決定している。
LIVE INFORMATION
ケルティック・ウーマン・ジャパン・ツアー2017 『ヴォイセズ・オブ・エンジェルズ』
○9/12(火)、13(水)18:00開場/19:00開演 会場:Bunkamuraオーチャードホール(東京)
○9/15(金)18:00開場/19:00開演 会場:NHK大阪ホール(大阪)
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