冬の風物詩、〈ケルティック・クリスマス〉が4年ぶりに戻ってきた!
音楽は人がいてこそ存在する~そんな大切なことを思い出させてくれるケルクリ
冬の風物詩、〈ケルティック・クリスマス〉が戻ってくる。2020年、オンラインという形で開催されたが、師走の下町に足を運び、楽しい時間を過ごす、通称ケルクリが開催されるのは、4年ぶりになる。もちろん、新型コロナウィルスによるパンデミックが中断の理由だ。この間、それまでと同じように音楽は存在したが、ミュージシャンたちのパフォーマンスを、その場で複数の人たちと共有する行為にこれほどの特別な感情を抱いたことがあっただろうか。音楽との暮らしの中で穴が開いたというか、決定的な何かを欠いたような気にさせられた。〈ケルティック・クリスマス〉は、日頃の生活での音楽の存りかたを見直させてくれる場だったので尚更だ。つまり、音楽は人がいてこそ存在する。そこには人々の暮らしがあり、音楽を通じていろんな文化や歴史に触れることで、ぼくは想像力を鍛えられてきた。それも、畏まらずに、こんなにも楽しく。普段、忘れがちな大切なことを思い出させてくれる、故郷のような存在が〈ケルティック・クリスマス〉だった。
第1回は1998年、ドーナル・ラニー・クールフィン、ソーラス、ALTらで開催、2002年の第3回から毎年恒例のシリーズとして定着する。チーフタンズの初来日公演を含めた1990年代の前史にあたる頃を含めると、30年近い歴史がある。ケルクリのおかげでどれほど多くのミュージシャンたちを知り、どれほど豊かな音楽と出会っただろうかと思う。今回は、ダーヴィッシュ、ルナサ、デイヴィッド・ギーニーの3組がやってくる。30年以上にも及びアイルランドのトラディショナル音楽を牽引してきたのが、ダーヴィッシュだ。フィドル、アコーディオン、フルート、ブズーキ、マンドーラ、バウロンといった楽器で、自然で素朴だが豊かなアンサンブルを奏でる。アルタンと共にアイリッシュ・トラッドの両横綱が揃った2015年以来の来日公演だ。ルナサも、演奏の名手が揃ったスーパー・バンドで、見事なアンサンブルで圧倒する。熱気ほとばしる瞬間は彼らならではだし、世界を股にかけて活躍するせいか、現代的で、動のイメージが強い。メンバーのケヴィン・クロフォード、キリアン・ヴァレリーがナタリー・マーチャントの傑作『キープ・ユア・カレッジ』に参加したのも記憶に新しい。例えがふさわしいかどうかわからないけれど、ダーヴィッシュには土の匂いが、ルナサには風の匂いがする、この両者が一緒に楽しめるだけでも嬉しい限りだ。そして、ダンサーのデイヴィッド・ギーニーは、スピード感にあふれ、華やかな動きで目を奪うに違いない。辛くて厳しい季節が永遠に続くわけではない。そのあとには楽しい祝祭が待ってくれていることを教えてくれるはずだ、きっと。
LIVE INFORMATION
ケルティック・クリスマス 2023
2023年11月26日(日)愛知・東海市芸術劇場 大ホール
2023年12月1日(金)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2023年12月2日(土)東京・すみだトリフォニーホール 大ホール
2023年12月3日(日)埼玉・所沢市民文化センター ミューズ アークホール
■出演
ダーヴィッシュ/ルナサ/デイヴィッド・ギーニー
★所沢公演・スペシャルゲスト ハンバート ハンバート
■総合お問い合わせ
プランクトン 03-6273-9307(平日13時~17時)
https://plankton.co.jp/