セイジ・ザ・ジェミナイ“Gas Pedal”(2013年)のヒットによって評判をクラスタの外側へと広げつつあるベイエリアのハートブレイク太陽族から、中心人物たるアイアムスー!の公式アルバムが満を持しての登場だ。ハイフィーの毒性から幻想的な酩酊気分だけを蒸留してドレイク以降の鼻歌マナーと融和したような、独特の奇妙なレイドバック感覚の快さは、『Kilt』シリーズなどのミックステープでも実証済み。本作でもP・ロウとクーヤ・ビーツら傷心の腹心を中心に、ビズネスらも交えて幻想的なスペースを作り上げ、メロディアスでユル~い語り口をナイーヴに浸透させてくる。2チェインズやウィズ・カリファ、バーナー、E-40にトゥー・ショートといった客演の豪華さ以上に、TDEにも通じる新世代感が眩しい。