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2017年を彩った『BLUE』な空気感の作品群

DIRTY PROJECTORS Dirty Projectors Domino(2017)

バンドからデイヴ・ロングストレスのソロとなった最新作。過去にもヒップホップ/R&Bの影響を作品化したりしてきたが、リアーナ&カニエ・ウェスト&ポール・マッカートニーのコラボ曲への参加やソランジュのプロデュースを経て、ここではアンビエントR&Bに歩み寄っている。

 

JHENE AIKO Trip Artium/Def Jam(2017)

日本人の血を引くLA在住のR&Bシンガーによる新アルバム。『BLUE』にも楽曲を提供しているジュリアン・クアン・ヴィエット・リーや公私のパートナーであるビッグ・ショーン、ジョン・メイヤーまで、広範なゲストがメロウでトリッピーなサウンド・テクスチャーに溶け込んでいる。

 

SUBMERSE Are You Anywhere Perfect Touch/Project: Mooncircle(2017)

英国出身にして東京を拠点に活動するプロデューサーによる2作目。同じく東京在住のカナダ人ビートメイカーであるfitz ambro$eを2曲でフィーチャーしており、国籍やジャンルから解き放たれた彼は、アンビエント&チルなタッチでビート・ミュージックを自在に変容させている。

 

KELELA Take Me Apart Warp/BEAT(2017)

エチオピア系アメリカ人の移民2世で、R&Bやジャズ、そしてビョークを聴いて郊外で育ったオルタナティヴR&Bの象徴。その初アルバムでは、アルカ、ジャム・シティ、キングダムら先鋭的ビートメイカーやモッキーのようなシンガー・ソングライターと多面的な作品世界を作り上げている。

 

Young Juvenile Youth mirror U/M/A/A(2017)

故Nujabesに見い出され、電子音楽家として先鋭的な活動を行うJEMAPURと、シュルレアルなアートに影響を受けたヴォーカルのゆう姫。グローバルな知見を前提に、日本的なメロディーや職人的な緻密さを自覚的に作品へ投影。オルタナティヴR&Bに対する日本からの返答がここに。

 

FKJ French Kiwi Juice Roche Musique(2017)

〈新世代フレンチ・ハウス〉を標榜するロッシュ・ミュージックの主宰にして、サンプリングを交え、自身の演奏でトラックを編み上げるパリの若きプロデューサー。オーガニックかつチルなタッチのR&Bを基調にしつつ、ジャンル分けの意識が希薄な彼の音楽はボーダーを越える。

 

City Your City N/S 術ノ穴(2017)

UKロックがルーツのヴォーカリストと、オルタナティヴ・ロックからテクノ、ブレイクビーツ、エレクトロニカを下地とするトラックメイカーの2人組。こちらはポスト・ダブステップを経由し、オルタナティヴR&Bという大きな器にJ-Pop的なキャッチーさをミックスして到達した初作。