インタビュー

Especia 『GUSTO』(1)

彩りがリッチで奥の深い、表情がカラフルで舌触りの良い、そんな味惑を取り揃えた初めてのアルバム『GUSTO』——空腹が極上のソース? それならこの6人をいますぐ味わって!!

左から、森絵莉加 95年11月4日生(18歳)ちょいワル系、三瀬ちひろ 94年1月22日生(20歳)クール系、冨永悠香 93年11月2日生(20歳)垂れ目系 リーダー、脇田もなり 95年1月28日生(19歳)困り系、杉本暁音 91年10月12日生(22歳)癒し系、三ノ宮ちか 89年6月5日生(25歳)家畜系
 
 

めっちゃ美味しい料理

 思えば、活動1周年を目前に届けられた初の全国流通盤『AMARGA』から1年。つまり結成からまもなく2年が経とうとしているのです。Especia——堀江系ガールズグループを標榜し、メンバー個々の魅力に音楽性やファッション性の高さが得難い刺激を加えている6人組ですが、この1年を通じて、その存在をいよいよ無視できないという雰囲気が、いろんなタイプのリスナーの間で醸成されてきたように思えるのは錯覚じゃないでしょう。

 

Especia GUSTO つばさレコーズ(2014)

三瀬ちひろ「2年目のEspeciaはがむしゃらに走り続けてた気がします。信じられないくらいあっと言う間でした。いちばん印象的だったのは代官山UNITでのワンマンライヴですね。満員でステージが観られなかった方もいたみたいで……そんなにもたくさんの方がEspeciaだけのために足を運んで下さったのがすごく嬉しかったです」

森絵莉加「本当に、いまでも頭の中で鮮明にUNITのステージからの光景が思い浮かびます! 本当に内容の濃い1年だったと思います」

三ノ宮ちか「昔から楽曲の評価はとても良かったんですけど、パフォーマンスに対しては辛口なことが多くて。最近ではやっとパフォーマンス面でも褒めて頂けるようになって……」

冨永悠香「対バンで他のアイドルさんやバンドさんのファンの方がいっしょにEspeciaで盛り上がってくれていたり、聴き入ってくれてるなぁと感じたときはすごく手応えがあります。最近は女性のお客さんや、若い世代のお客さんも増えてきて嬉しいです!」

杉本暁音「ライヴ中では、いままでよりも素直に〈Especia〉という音楽に、自由にノッて楽しんでくれる方が増えたと思います」

 メンバーも個々に感じている熱気や期待感……そのひとつの起点となったのが先述の『AMARGA』なのは言わずもがな。その後は年を跨いで2枚のシングル(や限定シングルなど)を発表。そして、満を持して初のフル・アルバム『GUSTO』の完成です。

悠香「〈GUSTO〉は味、〈AMARGA〉は苦いという意味で、もちろんGUSTOの中にはAMARGAのような苦味も含まれています。甘い部分も苦い部分も、2年間の私たちの歴史が詰まった作品です。それぞれの曲でまったく違う、いろんなスパイスが生まれました。メンバーの歌がそれぞれまったく違って、しかも一つ一つが濃い味になってきて。一つ一つ濃い味やと食べたときに辛いけど、心地良いサウンドと調和されて、めっちゃ美味しい料理になっています」

脇田もなり「『AMARGA』を作り終えた時は、もっと歌が上手だったらなって思いました。何か無理に歌ってる感があったりして、次は絶対曲に追いついてやろう!ってすごく思ってました。『GUSTO』では少しは成長したかなって思いますけど……どうですかね……」

 


6人が合わさってこそEspecia

 いやいや、バッチリですよ! 舞台裏では5日間で13曲を歌録りするという強行スケジュールだったそうですが、「短時間でどれだけクォリティーをあげられるかが挑戦でした!」(悠香)という成果は聴いての通りでしょう。期待感を煽るイントロに続いての“BayBlues”はブラコン作法の物憂いスロウ。以前から“トワイライト・パームビーチ”など気怠さはEspeciaの持ち味ではありましたが、勢いに頼らずムードとニュアンスとグルーヴで聴かせる傾向は、今回さらに濃密になっています。サウンド・プロデュースを手掛けるSchtein&Longerの采配は、それぞれの歌唱の成長や自信の深まりを受けた結果なのかもしれません。既発のシングル曲も再録音orリミックスされるなど、アルバムの尺を活かしきった全体の彩りも素晴らしいもの。

 リード曲となるのは「初めて聴いた時から鳥肌が立った」(絵莉加)という“No1 Sweeper”で、これは「サックスのソロから入るんですが、そこがすごくかっこよくてゾクゾクします」(ちか)というEspeciaらしさがグイグイ押し出されるジャズ・ファンク。もなりが「サックスとドラムが強い感じがして、ドンドンカッ!ってリズムがめちゃくちゃ大好きです。ライヴ中、自分がかっこよく感じたりしてしまいます(笑)」と語る“FOOLISH”もグルーヴィーで、このタイプのブラコン~フュージョン風味とEspeciaの食べ合わせはやはり絶妙です。

 また、例えば悠香のお気に入りだという“BEHIND YOU”は「聴いていてすごく和やかな気分にさせてくれるんですけど……事情があって手が繋げない二人の歌なんです」とのことで、主にmicroによるセンシュアルな歌詞の対象年齢は今回もやや高め。「1月に20歳になって、“ナイトライダー”の歌詞に出てくるギムレットというお酒を飲みに行った時は大人になったなーって実感しました」(ちひろ)と半分以上が成人メンバーとなったEspeciaですが、まだまだ詞世界には体験が追いつかない模様。唯一ちひろ作詞による“Mount Up”がイノセントな葛藤を描いたスパイスになっています。

 ゆったりしたスロウでは「イントロ、間奏、アウトロでキーボードの滑らかな音色が心地良くて好きです」(ちひろ)という“嘘つきなアネラ”もアダルトな舌触りが出色。他にも“L'elisie d'a more”では「前からラップには挑戦してみたかったのでやれて嬉しかったです」(ちか)という6人のチャレンジがあったり、マセラティ渚によるウォーキング・テンポの“くるかな”が新鮮だったり、“ミッドナイトConfusion(Pureness Waterman Edit)”がその名の通りPWL仕立てのバブリーなダンス・チューンになっていたり、アレンジの野心的な広がりも聴きどころでしょう。それでいて個々の繊細だったりドヤ顔だったりする可愛い表情はより鮮明に浮かんでくるのだから、これは傑作という他ありません。

もなり「出来上がって聴いたら、これがEspeciaだなって感じました。いまはもうちゃんとみんなが曲を理解して雰囲気を感じ取って、一人一人が個性を出せてるなって。ソロパートが減って悔しかった部分もあるけど、6人みんなが合わさってて、これが本物のEspeciaなんだって思いました!」

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