ジム・ジャームッシュ 「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」

ジム・ジャームッシュ 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』 東宝 (2014)
2014.06.13

世界を動かすシステムに対抗するには想像力が必要だと前作『リミッツ・オブ・コントロール』で示したジム・ジャームッシュの新作は、世界の知性の欠如に本気で絶望しながら何世紀に渡って生き続ける吸血鬼の物語だ。ハリウッド大作では木偶の棒な神様役のトム・ヒドルストンと52歳であることが信じがたいティルダ・スウィントンの吸血鬼夫婦の夜の彷徨の美しさに、ストーンズ主演で本作と同タイトルの映画を撮る予定だった師ニコラス・レイの夜が被さる。彷徨の果てのラストは、吸血鬼映画のお約束というだけでなく、男女の愛の行為に他ならない。実にロマンティックな映画だ。