Corneliusが昨年リリースした『Mellow Waves』は、ジャケットを小山田圭吾の叔父(父の妹の夫)である中林忠良が手掛け、はとこであるミキ・ベレーニ(英ロック・バンドLUSHのヴォーカル)とはデュエットを披露。iTunes Storeでのアルバム予約者限定ボーナス・トラック“夢の奥で”では祖父と叔父、そして5歳の圭吾少年の声がサンプリングされるなど、偶然なのか意図的なのか(そして2006年の父の逝去が影響したのか)、これまで排除してきた〈血〉が通った作品に感じられた。

そんなCorneliusが国内アーティストでは初となる〈Spotify Singles〉に登場。この企画は、アーティストがSpotifyユーザーのためにオリジナル曲とカヴァー曲を2曲セットで選曲・レコーディングして配信するプログラムで、小山田が選んだのは『Mellow Waves』の収録曲“あなたがいるなら(If You're Here)”とドレイクのヒット曲“Passionfruit”の2曲だった。どちらもNYのSpotify Studioでレコーディングされたもので、“あなたがいるなら(If You're Here)”の方はBPMこそ原曲と変わらないが、より間を大事にとった、ぬくもりを感じられるトラックだ。

一方の“Passionfruit”は原曲に忠実な進行ながらも、浮遊感あふれるシンセ・サウンドとオートチューンがかかった体温の低い歌声で、原曲以上に冷めたパッションを表現。この曲はレコード屋で働く息子から教えてもらって以来気に入った楽曲らしく、ここでも〈血〉にまつわる奇妙な一致が見られるのが興味深い。