『Constellations Of Music』のような〈仕事集〉ではあれど、一貫性のある選曲やトリートメント、磨き抜かれた構成はまさにCorneliusの新作。声を素材にしたものがある一方、歌ものは2曲に留まりインストが中心。彼の音に惚れ込んだ者、その世界に浸りたい者にとって堪らない（“ここ”“声”の言葉は強烈だが）。キーワードは〈アンビエント〉。とはいえCornelius流のそれは 『Mellow Waves』以降の試みを発展させたミニマリズムに近い。引き伸ばされた音、反復しながら揺れる音で空間性を抱えた美しい景色は、細野晴臣や吉村弘からトン・ゼーまでの仕事に連なる独自の環境音楽と言える。ラストは故・坂本龍一への鎮魂歌として響く。