ソウルとジャズが交錯するシーンの突端にアクセスした『Obscure Ride』から3年を経て届けられた新作。ここからは前作の成果を糧に、さらなるグルーヴ探求に挑む彼らの姿が見て取れる。ポリリズムや変拍子、よれて訛ったビートなどを呑み込んだサウンドにまずは圧倒される……のだが、どこまでもceroらしい流麗なタッチで成立させているのがまた凄い。ライヴ・サポート陣も加わって練り込まれたバンド・アンサンブルが、メロウなトーンを維持しながら全編をスムーズに聴かせているのだ。言うなれば洗練を極めたエクスペリメンタル・ポップ。それはともすると研磨を重ねた大理石のように掴みどころがないかもしれない。しかし、耳を開いて向き合えばかつてない深淵な世界が立ち現れるはずだ。