
まさか涙、涙のインタヴューになるとは思わなかった
――手相占いで〈この仕事が天職だ〉って言われた人なわけじゃないですか。
「そうなんですよ……。だけど、いまは前向きに捉えられるようになってきて。connieさんもすごくポジティヴなので、レコーディングでうまくいかなくても必ずいいところを見つけて言ってくれるんです。それを聞いて頑張ろうって思えるようになったし」
――結局、すべて気持ち次第だと思うんですよね。
「ホントにそうですね。いま調子悪いけど逆にすごいポジティヴになってきて。もちろん落ちるときは落ちますけど、悩んでてもしょうがないって思うので。そういう症状の人がたくさんいるから……それで戻ってきた人っているんですかね?」
――いるから、なんとかなりますよ! これまでヘコみ慣れてなかった感じなんですかね?
「そうなんです、ぜんぜん免疫がなくて」
――Nao☆ちゃんとかえぽがグルグルと思い悩んでいるときに……。
「そう、私はずっとヘラヘラしてたんで(笑)。いま自分がその局面に立たされた感じです」
――それがちょうど2年前ぐらいからだったんですか?
「NHKホール以降ぐらいから急に悪くなっちゃって」
――それでも辞めずにいられたのは何があったんですか?
「やっぱり苦しいときは心のなかで辞めたいとか逃げ出したいっていう気持ちはあったんですけど、15周年っていう大事な節目が迫ってるなかでここまでやってきて、自分の弱い気持ちだけで辞めちゃっていいのかなっていうのもあったし。
NHKホールが終わってこれからもっと上を目指していかなきゃいけないと思ったときに、すぐ辞めるみたいな勇気はなくて。でも去年かな? ゆっきー(雪田容史/T-Palette RecordsのNegicco担当)とかには〈もう辞めたいです〉って呼び出して言っちゃったりしてて。
そのときに、〈じゃあ辞めてください〉とかそういうことは言われず、すぐに解決策を出してくれて、〈ボイトレを入れるとかなんとかするから〉って、よくなる方向にみんなが持っていってくれたから」
――当たり前ですよ。Negiccoはそういうグループですから。
「みんなが手を差し伸べてくれて、いまギリギリやってきてるって感じですかね」
――〈いいよ辞めて。若くてかわいい子入れるから〉って感じのグループじゃなくてよかったですよ。
「そうだったらそれで〈辞めます〉ってなってたんですけど(笑)」
――この3人だからこそNegiccoなので。
「そう言ってくれる人がいるから、〈私なんか〉っていう気持ちはありますけど、この3人のバランスとか、〈この3人だからNegiccoを応援したくなるんだよ〉とか言ってもらえると、自分も必要とされてるんだなってあらためてここ2年ぐらい感じてます。すごい迷惑かけてますけど……(涙)。まさか涙、涙のインタヴューになるとは思わなかった(笑)。よかった、先に写真を撮っといて」
――〈卒業とか考えてません〉って言ってた人が、ここまで悩むようになるとは……。
「そうですね、まったく1ミリも思わなかったんですけど」
――そういう時期に体力的に余裕のある活動になって、ホントよかったですよ。
「そうですね。ゆっきーが新潟に来てくれて、なんかゆっきーのNegiccoに対する気持ちも優しくなってきて」
――それまで優しくなかったんですか(笑)。
「厳しかったんですよ(笑)。何回つらい涙を流したことか」
――意外と当たりが強くて。
「当たりが強くて(笑)。そこは変わりましたね。あと、ゆっきーが新潟のフリーペーパーに出てて、〈Negiccoの魅力ってなんですか?〉って質問に〈ひとりひとり声が違って癖がなくて、それがすごくいい〉って言ってくれてて。そう思ってくれてるからこそちゃんと歌えるようになりたいなと思って。
Negiccoの3人の歌声が好きってファンの人も言ってくれてますし、ちゃんと戻ってこなきゃなって思いますし。調子いいときと悪いときの差がけっこうあるらしいので、自分的にはちゃんと歌いたいっていう気持ちを持ってても調子が悪いと無理だったりするんです」
ただのヲタなんで(笑)
――そういう状況だったからなんでしょうね、ぽんちゃのTwitterを見ていると辞めていくアイドルへの感情移入がすごい感じられて。
「そうなんです、℃-uteさんとか最近のチャオベラ(チャオ ベッラ チンクエッティ)さんとかも」
――アイルネ(アイドルネッサンス)から何から他人事じゃないというか。
「そうそうそう。思うところがけっこうありました、その時期は」
――有安(杏果)さんの件※しかり。この2年でよかったことといえば、ももクロと絡めた※※っていうのもありましたね。
「そうなんですよー。まだ5人のときに一緒にステージに立てました、うれしいです。推しメンずっといなかったんですよ、箱推しで。だけど(百田)夏菜子ちゃん推しになりました」
――直接会ったら、あの人間性にはやられますよね。
「ホントにまっすぐですね、純粋に。あの瞳が忘れられなくて」
――それこそ彼女の高校の同級生が〈太陽〉って言う気持ちがわかる。
「そうそう、ホントにアイドル」
――裏表のない、いい意味でのバカっていう(笑)。
「たしかにみんな言ってた(笑)」

――念願のももクロに会えて、この2年では対バンきっかけでエビ中とのつながりも深くなって。
「そうなんですよ、エビ中さんとも」
――ぽんちゃは〈エビネギ〉の前の運営同士が共演するイヴェント※にまで来ましたからね。
「そうなんですよ! どうしても観に行きたくて。ホント出るつもりなくて、こっそり観に行こうと思ったんですけど」
――メンバーが来たらステージ上げますよ、オッサンしかいないんだから。
「ハハハハハハ! ちょっとだけトークに参加させてもらって」
――〈エビネギ〉のライヴはどうでした?
「〈エビネギ〉はホントに夢のような時間で、リハーサルから夢みたいで。自分が好きだからこそ距離をまったく詰められなくて、リハのときもファンとアイドルとして見てたんで、こっちに来ると離れたりして(笑)。どっちも人見知りだからぜんぜん距離が縮まらなかったんですけど、本番で急にグッと2組ともスイッチが入って接近できて。
知れば知るほどエビ中さんの……曲とかパフォーマンスももちろん好きなんですけど、中身もすごい好きになっちゃって。スイッチが入る瞬間の輝きがすごいなと思って。私は安本彩花ちゃん推しなんですけど、彩ちゃんのこともっと好きになりましたね」
――安本さんも人間性がいいですよね。
「豪さんのインタヴューでネガティヴなこと言ってましたね。あれも含めて好きです。お父さんとの関係性も好きです」
――お父さんとの密な関係で有名でしたけど、〈最近はお父さんと距離を持つようにって。大人になったんです〉とか言ってました。
「えーっ、ダメダメダメ! ずっと仲良くしてほしい。そうなんですか?」
――ええ、ちょっといろんな変化があったらしくて。
「彩ちゃんも20歳になりますもんね。カレーが苦手なんですって」
――カレー好きとしては複雑ですね。
「そう、カレー好きとしてはこっちの世界に連れて行きたいなと思うんですけど」
――一緒に美味しいカレー屋さんに行ったりしたいのに。
「でも、〈チャレンジはしたいんですよ〉って言ってくれて、そう言ってくれただけでもうれしいです」
――安本さんの悩みも超まじめな、いい子特有のヤツなんですよね。
「ホントに! 彩ちゃんはいまの歌い方に悩んでるらしくて。自分のなかでも優しい歌声が好きで、そういう歌い方をしたいんだけど、曲調的にも激しいのが多かったりするなかで、ロックな感じの歌い方にシフトしていったことがすごい悩みだったらしくて。私のことファン代表として、〈私のいまの歌い方どう思いますか?〉みたいなことを聞いてくれて。
――かなり答えづらい質問じゃないですか!
「私は彩ちゃんが何になろうと好きなんで」
――わかりやすく盲目的なヲタで(笑)。
「昔の歌声ももちろん好きだし、いまのカッコいいのも大好きだし、すべてが好きなんで。でも、それって逆に相手を悩ませるだけなのかなと思ったりして」
――向こうとしてはアドヴァイスが欲しいのに。
「だから〈私に聞いちゃダメだよ〉みたいな」
――ただのヲタなんで役に立たない(笑)。
「そう、ただのヲタなんで(笑)」

それだけNegiccoにみんな期待してくれてるんだなって
――ボクは安本さん、小林(歌穂)さんの優しいまっすぐな歌い方が好きなんですよ。
「ホントにいいですよね。歌穂ちゃんの語るような、“感情電車”の入りとか最高じゃないですか。
――超いいですよね。
「超いいです! ホント涙が出そうになるぐらい。スーッと入ってくるんですよね」
――歌って感情を入れるよりも、あれくらいフラットにやられたほうが持っていかれるんですよね。
「そう! だからあれを聴くと自分は力が入ってるなって感じたり。もっとリラックスしていいのにとか」
――あそこまでリラックスするのはなかなか難しいですよね、あれは天性の何かがある。
「あれはホント天性だと思います、あのキャラクターも含めて……かわいい!」
――ぜんぜん同業者目線じゃないですね(笑)。
「ホントに(笑)。一緒にいると穏やかじゃないです」
――それだけ距離が詰まったグループに大変なことが起きて※、ぽんちゃもものすごいショックを受けたわけですけど……。
「そうですね……それがあったとき、新潟に来る予定だったんですよ、プロモーションで。新潟の私たちの番組にも出てくれる予定で。その1時間後ぐらいにニュースを見て」
――小林さんとかが新潟に行く予定だったんですよね。
「そうです、歌穂ちゃんと(中山)莉子ちゃんが来てくれる予定だったんですけど、中止になったって聞いて。後日、お別れの会にも参加させていただいて」
――あの前後でエビ中を全員インタヴューしてたから、みんなの気持ちがわかっちゃうというか、ぁぃぁぃ(廣田あいか)が辞めるのもわかるんですよね。自分の人生を考えた場合、ここで一歩踏み出すしかない、みたいな。
「19歳で自分の人生のもっと先のことを考えて事務所も辞めてっていう決断をしたのってすごい勇気が要ることだし、自分が10代のとき、そんなことは考えてなかったです」
――プラス10歳ぐらいでようやく悩んで。
「ようやく考え始めたんで(笑)。だからホントにすごいなと思って。でもあの子はホントに才能があるのはみんな知ってると思いますし、また違うかたちでぁぃぁぃちゃんが見られたらいいなとは思います」
――エビ中は校長(藤井ユーイチ/マネージャー)がすごいんですよね、このタイミングで辞めるのが決まってるぁぃぁぃをボクにインタヴューさせてくれて、校長同席で辞める話もして、ふつうに今後の話とかを仲良くして、ここは特殊な運営だなと思いました。
「そうなんですね。ぁぃぁぃちゃんの卒業公演が終わったときのみんなの写真とか見ても、円満だったんだなってすごい伝わりました」

――アイドルもいろいろ大変なことが多いわけじゃないですか。ぽんちゃもそれを実感するようになったんでしょうけど。
「はい、実感しました。15周年を迎えるにあたって長く続けてきてよかったなって思うし、いろんな人に言われるんですよ。〈20年やってるNegiccoが観たいな〉とか、その先のことをみんな言ってくれたりして。
そんなの無理だよって思った時期もあったんですけど、でもNegiccoにそれだけみんな期待してくれてるんだなって。期待されると萎縮しちゃうんですけど……」
――プレッシャーはかけないでほしいわけですよね。〈20年やってくれなくちゃ困るよ!〉じゃなくて、〈いつまで続けてもぜんぜんいいから〉って感じでフワッと応援してほしい。
「そうですね。でも、Negiccoにはそれができる気がする。私も来年30になるんで、Negiccoを続けながら、いまラジオのレギュラーとかさせてもらってて、Negiccoとは違う部分でもNegiccoを知ってもらえるような個人的な活動で、特技を見つけられたらいいなと思ってて」
――Negiccoがすごいと思うのが、もうアラサーと呼ばれる年齢なのに、なんなんですかね、この思春期感(笑)。
「ハハハハハハ! 遅れてきた思春期感が(笑)」
――超思春期じゃないですか。だからぜんぜん大丈夫ですよ、いま思春期ってことは、ほかの人と10年ぐらいズレてるんで、ぜんぜんまだ続けられるってことだと思うんですよね。
「ありがとうございます(笑)」
――ほぼティーンですよ!
「ハハハハハハ! ティーンですか!」