DJダーヒー製のスナップ曲を柱にUSの流行を意識した前作『Sheezus』と比べ、4年ぶりの新作は英国好みな一枚に。恋仲のメリディアン・ダンやギグスを迎えてグライミーにキメてみたり、レディ・チャンやバーナ・ボーイといった新鋭DJにスポットを当ててアーリー趣味満点のレゲエ・フュージョンを展開したり……音の構成要素はデビュー作と重なる部分が多々。だけど、バツイチになったいま、当時のような元気に毒づく姿は見当たらず、シガレッツ・アフター・セックスや久々の顔合わせとなるマーク・ロンソンの手掛けたピアノ・バラードに顕著な通り、抑制の効いた歌唱と少しだけ弱気なリリックが印象的です。辛い経験を経て深みのある表現を手にしたリリーに、何度もハッとさせられました。