ニルヴァーナの悲劇の後、デイヴ・グロールは実質ソロでもバンド名義で再生を遂げたが、チェスター・ベニントンを失ったマイク・シノダは初のソロ名義作でのリスタート。タイトルからしてそうだし、歌詞対訳を参照せずとも、並んでいる楽曲名でどんなアルバムかは容易に想像がつく。ならば、気が滅入るような内容かと言えば、むしろ逆。曲を追うごとに、暗闇に光が灯り、その光量と輝度が少しずつ増していくように、癒しと希望がもたらされる美しいアーバン・ポップ作品だ。図らずも、自身のソングライティングとトラックメイクの卓抜なスキルはもとより、ラッパー、そしてシンガーとしての異才ぶりを知らしめる結果になっていることは、選ばれしアーティストの業と言うべきか。