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空気みたいに

 そんなミナスへの憧れを楽曲へと昇華したのが、ミツメとのコラボレーションによる“蜃気楼”。ミュートの効いたやや変則的なリズムにミツメらしさを感じさせつつ、中川と川辺素のデュエットが好相性な一曲に仕上がった。

  「私は拍を2拍子で取って作ったんですけど、ミツメは3拍子だと思ったみたいで、最初〈どうなってるかわかんない〉って言われて(笑)。録音はシラちゃん(MC.sirafu)と歌だけ後乗せで、他は全員で一気に録りました」(中川)。

 「ドラムは一回、須田さん(ミツメの須田洋次郎)とスタジオに入って、打ち合わせをしました。同じリズムが鳴ってると思いきや違うリズムに離れたり、とツイン・ドラムならではのおもしろさが出せたと思います」(村野瑞希、ドラムス)。

 Enjoy Music Clubとのコラボによる“Future Heads”は、中川がヴォーカルで参加したEnjoy Music Clubの“ナイトランデヴー”に続く「〈恋人たちバルト9三部作〉2曲目のイメージ」(MC. sirafu)で、曖昧な男女の心象風景と街の情景とのリンクが切なさを際立たせる一曲。そして、『TNB!』の1曲目に収録されていた“なつやすみ(終)”のリテイクには、昨年から中川がサポートで参加している空気公団の山崎ゆかりをヴォーカルに迎えている。

 「2年前くらいの自主企画へ空気公団に出てもらったとき、最後にこの曲を一緒にやったんですけど、ゆかりさんが歌ったのを聴いたら〈空気公団の曲みたい〉って思うくらいぴったりハマって、これは録音して残したいなって。その後、空気公団でコーラスをするようになって自分も曲を作るときにコーラスを一緒に考えるようになったし、改めて〈日本語を大事にしたい〉と思ったんですけど、そもそも学生のときに〈空気公団みたいなバンドを組みたい〉って思ってたんですよね。歌がバン!って前に出るんじゃなくて、ホントに空気みたいに景色と一緒になっていてくれる、そういうバンドが理想だったんです」(中川)。