R&Sに移籍後の評判はすっかりこっちのローン(LONE)が優勢のようだが、ローンといえばあのローンのことも忘れるわけにはいかないだろう。オメガ・クラッシュでの活動を経てブレインフィーダーとソロ契約を結んだ、USのローン(LORN)のことである。フライング・ロータスが設立したレーベルの第1弾アルバムという期待もあり、不穏でダークな音響派ダブステップにまみれた初作『Nothing Else』は大きな話題となったものだった。

LORNの2010年作『Nothing Else』収録曲“Tomorrow”

 この頃には〈どのローン?〉という声もかまびすしかったように記憶している。そのエクスペリメンタルな野心はニンジャ・チューン移籍作『Ask The Dust』でも変わらなかったが、前後してローンの発表したローン(LONE)の『Galaxy Garden』が爆発的な高評価を得たこともあって、次第に〈ローンといえばローンでしょ!〉という状況は顕在化していった……。

 LONEの2012年作『Galaxy Garden』トレーラ―

 そんななか、フランスからローン(RONE)が名乗りを上げたのは昨年。実は2009年にひっそり『Spanish Breakfast』(廃盤)を残していたローンの新作『Tohu Bonus』が登場したのだ。こちらは精緻なIDM系のアンビエント作品で、また違った美しさがあって……。このローン争いに決着がつくのかは不明だが、ともかく発音が大事なのは確かだ。

RONEの2013年作『TOFU BONUS』収録曲“Let’s Go (Wild Edit)”

 

▼LORNとRONEの作品

左から、ローン(LORN)の2010年作『Nothing Else』(Brainfeeder)、2012年作『Ask The Dust』(Ninja Tune)、ローン(RONE)の2013年作『Tohu Bonus』(Infine)
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