下北沢駅の南西口から徒歩10分、餃子の王将や440を右手に進むと、〈酒のカクヤス〉と書かれた看板を掲げている建物が見えます。同ビルの地下1階で、24年にわたって営業を続けているライヴハウスが、BASEMENTBAR。キャパ250人の小箱であり、会場に流れるフレンドリーな空気から、さまざまなジャンルのバンドマンやDJに愛されています。お隣さん、THREEと並んで下北沢の音楽カルチャーにおける重要な磁場のひとつと言えるでしょう。ちなみに現在、Mikikiでもイヴェント〈Mikiki Pit〉を、BASEMENT BARにて開催。というわけで、日頃からたいへんお世話になっております。

この度、BASEMENTBARスタッフによる連載〈いま下北沢で噂のあいつら〉がスタート! タイトル通り、ブッキングを担当しているスタッフ4人が、いまライヴハウスで観てほしい注目のミュージシャンを、毎月1人1組ずつ紹介していきます。ライヴハウス主導の企画、いわゆる〈ハコのイヴェント〉のおもしろさにも定評のあるBASEMENTBARだけに、この連載もきっと発見をもたらしてくれるはず。記事を読んで、気になるアーティストがいれば、ぜひライヴにも足を運んでみてください!! *Mikiki編集部

BASEMENTBARの入り口、受付をしているのが店長のクック
 
ライブ中の様子
 
フロアからステージを観るとこのような感じ。ライヴをしているのは副店長のこっけ

 


店長・クックヨシザワの〈噂のあいつら〉!

Mikikiをご覧になっている皆さん、はじめまして。
2017年よりBASEMENTBARの店長をやらせていただいてます、クックヨシザワと申します。
自称・サザンシモキタソウルバンド、ミートザホープスでガッタガッタと歌をうたってます。

この度はありがたいことに僕を含め4人のBASEMENTBARブッキング・スタッフの連載が始まるということでして。
下北沢の最南端から僕らが好きな音楽を、それぞれの色で発信していきたいと思います。

僕はルーツ・ミュージックを感じる気持ちE音楽を中心にお送りしようと思ってます。
そうじゃない回もあるかもしれませんが。。。
気長にお付合いください。ひとつよろしくどうぞ。

さて、僕が今回ご紹介するのはこちらのバンドです。
どん!

Saboten Neon House

2018年1月結成。60年代~80年代頃の日本の音楽に影響を受ける。
どこか懐かしくシンプルなメロディーと温かいサウンドが特徴。
日常に寄り添い、口ずさみたくなる音楽を志す。
都内を中心に活動中。
伊佐郷平(ヴォーカル/ギター)、青山哲哉(ギター/バンジョー)中村功大(ベース)、藤田嶺(ドラムス)の4人組バンド。
と、YouTubeのプロフィールには書いています。 

初めて聴いたときは70年代のベルウッドやURC系列のシンガー・ソングライターなどからの影響を感じました。僕のストライク・ゾーン。
しかしながら過去の音楽をそのままやっている感じはなく、2010年代のいまを生きているなかで、自然体でそれを昇華して表現しているところに惹かれます。

身近に感じるリズムと、肩肘張らない言葉で、まるであたたかい風が吹き抜けていくような気分。

結成から1年ちょっとということもあり、音源がまだあまりリリースされていないのと、インターネット上にアップされている動画なども少ないので、チェックするならぜひ一度ライヴに足を運んでみるのをオススメします。

ストレスの溜まりやすいご時世ですから、休みの日のお昼なんかに聴いたらきっと心地良いですね~。
リラックス!

最後まで読んでくれてありがとう。
次回もお楽しみに!

2019年2月17日(日)
〈Eureka!〉
開場/開演:12:00/12:30
料金:前売 1,700円 当日 2,000円(いずれも+1ドリンク)
出演:阿佐ヶ谷ロマンティクスSaboten Neon HouseTago&Magos
FOOD:羽鳥の◯◯飯

 

スタッフ・かたしょの〈噂のあいつら〉!

こんにちは。かたしょです。
群馬で〈MACHIFES.〉という野外フェスを企画したり、BYE CHOOSE、Ajam crewの一員としてDJもしてます。
下北沢BASEMENTBARで働きだしてから2年が経ちました。ここでは、BASEMENTBARにたくさん出演してもらってる、まだメディア露出の少ない若手バンドを中心に紹介できたらと思ってます! 今回紹介させていただくのはこのバンド。

Cody・Lee(李)

2018年8月結成の6人組。
〈Eggs presents LIVE BOOSTER〉で最優秀賞を獲得し、3月にZepp TokyoでNakamuraEmi、chelmico、LUCKY TAPESとの共演も決まっている、いま要注目のバンドです。

一聴いわゆるシティー・ポップ以降のバンドのように思えますが、ライヴでは爆発的に激しく演奏する一面もあり、まさに彼らのプロフィールに書かれている通り〈citypop & alternative〉。
そんな安易な表現、とも思えますが、彼らの本当の魅力は都会的で洗練されたポップスのなかに並存するいなたさです。
音楽性の豊かさとポップ・センス(きのこ帝国やフジファブリックなど2000年代以降の日本の音楽からの引用も見事に曲に溶け込んでいて魅力的!)が〈citypop & alternative〉を実現させているように感じます。

2月19日(火)にはBASEMENTBARで僕が定期的に企画しているブッキング・イヴェント
〈PUNCH!〉にも出演します。
ドリンク代込み2,000円で、他にも今年注目のアーティストがたくさん出演するので良かったら遊びに来てください!
どうぞよろしくお願いします。

2019年2月19日(火)
〈PUNCH!〉
開場/開演:18:30/19:00
料金:当日 2,000円(1ドリンク付)
出演:nape’s/Cody・Lee(李)/窓際/Foods/The trees

 

副店長・こっけの〈噂のあいつら〉!

みなさま、はじめまして。
BASEMENTBAR副店長のこっけです。
お店では主に持ち込みのイヴェントを担当することが多いですが、
平均月に1~2本、ブッキング・イヴェントも担当しています。
個人としても音楽活動をしています。
いまは弾き語りを中心に活動しておりますが、10年ほどバンドをやっておりました。

さて、今回僕が紹介するバンドはこちら。

アスナロサイエンス

2017年に大学のサークル内で結成。ギター&ヴォーカルの吉村宗一郎がドラムスの小安駿平から「バンドやらない?」と声をかけられたことがきっかけだそうで、2018年から本格的に活動を始めた超フレッシュなバンド。ライヴではサポート・ベースを入れている3ピースのロック・バンドです。

まず何よりも曲が〈ちょうどよくキャッチー〉なところに惹かれました。
あくまでも媚びすぎず、かつしっかりとロックしているなか、
ちゃんとフックになるフレーズが、
良きタイミングで、無意識のうちに脳みその隅っこのほうに埋め込まれていくような、
そんな感じです。
僕自身もライヴを観たのは3~4回程度ですが、すでにほとんどの曲をぼんやり歌えます。

ロックして
君は心をロックして
遠ざけていた
ノックした
僕の拳はなんて汚れてるんだろう
“ロックして”

本人たちが意識して作っているかはわかりませんが、
メロディーと歌詞の寄り添い方が見事で、歌われるために作られている印象です。
そしてそれって、誰もが狙ってできることではないな、と。
天然なのか天才なのか、まあいずれにせよ彼らのこれから作るたくさんの楽曲が、
たくさんの人たちの口ずさむ楽曲になってほしいなと、心から願っております。

2019年2月27日(水)
〈Got A Comp〉
開場/開演:18:30/19:00
料金:当日 2,000円(+1ドリンク)
出演:アスナロサイエンスクリオネマイティマウンテンズ/村田純(LUMBER JACK)/Glimpse Group

 

副店長・高木の〈噂のあいつら〉!

はじめまして。BASEMENTBARの副店長、高木と申します。
ベースメントでは平日に開催している〈3AD〉というイヴェントを中心に、インディー・ロックやパンク・バンドを主に呼んでおり、ほぼ毎月、有名無名に関わらず世界中のバンドの来日イヴェントに関わっております!
その他ベースメント以外では、早稲田ZONE-Bというライヴハウスでほぼ毎月開催している〈DANCE MY DUNCE〉というインディー・ロック/パンクのイヴェントに携わっております。
また、千葉県代表バンド、RUNRUNRUNSでベースを担当しております
好きな音楽はピクシーズとスミスとディセンデンツです!

僕が今回紹介させていただくバンドはこちら。

ステレオガール

2014年結成、東京が拠点。
毛利安寿(ヴォーカル)、宇佐美莉子(ギター)、吉田奏子(ギター)、大塚理玖(ベース)、立崎ゆか(ドラムス)の5人組ロック・バンド。
2018年6月にファースト・ミニ・アルバム『ベイビー、僕らはL.S.D.』というちょっとヤバめなタイトル(笑)の音源をリリースし、〈SUMMER SONIC 2018〉に出演。〈未確認フェス〉でも準優勝するなどなにかと話題な彼&彼女たち。
ベースメントへの2018年の出演回数も相当に多く、どのイヴェントでもがっつり盛り上げてもらいました。
今年2019年、2月20日(水)にはセカンド・ミニ・アルバム『NADA』をリリースし、先行発売を兼ねたリリース・パーティーをBASEMENTBARにて2月3日(日)に行います。

女4人、男1人とほぼガールズ・バンドなんですが、彼ら彼女たちの魅力はそういった見え方を突き破っているところです。

決して他のガールズ・バンドを否定してるんじゃなく、むしろ好きなんですが、
彼ら彼女達にはそういう部分が〈ない〉ということ。

音楽的には、オアシスやストーン・ローゼズの影響も感じられる“GIMMIE A RADIO”。レディオヘッドやピクシーズ、ダイナソーJrなんかを感じる“PEPPERMINT”と“ひとごろし”。
ロックンロール全開な“P.R.D.”にはドクター・フィールグッドとかを感じますね。あくまで個人的な見解ですが。

リヴァプールやマンチェスターの(音楽と似た)浮遊感がありつつメロディアスで、楽曲の仕上がりにはUKロックを感じます。あくまで個人的な見解ですが(笑)。

ヴォーカルの安寿が日本語で歌っているので、西洋的な感じが表に出すぎていなくて、これまた入り込みやすくて良いです。
かといってスタンダードな日本語ロックに収まらない、ちょっと力の抜けた気だるい感じが、楽曲によっては虚無感とか哀愁を感じさせたり、“P.R.D.”や“ぼくらはわかくてうつくしい”とかアップテンポの曲には少しやさぐれてる感じが出てたり、不良っぽくていいんですよね。ロックだなー。
スロウテンポな曲やわざとヴォーカルだけテンポダウンして歌ってる曲などはより感情移入しやすいです。グッときます。

ライヴでも、安寿は体全体で指揮者みたいに楽曲のイメージを表現するんですが、どこか周りを寄せ付けない感じがある。少し目が座ってる。戻っちゃうけどリアム・ギャラガー感があるなー。ロックスター!

演奏者4人のプレイも洗練されてます。
ギター宇佐美のジャキっとしたカッティングっぽいリズム・ギターと、ソリッドな攻めのライヴ・パフォーマンス、そして眼光。誰よりもパンクなスタイル。

もうひとりのギター奏子の弾くメロディーも彼女独特の天然さがある。彼女にしか出せないし表現できない何かをいつも感じます。この子だけの特殊な何か。ただ、それがステレオガールに〈ハマってる〉。
彼女の、リヴァーブが効いていて良メロディーのリード・ギターはステレオガールのひとつの肝になってます。

ベースの大塚くんは、スロウでディープな楽曲を表現するときに、重たいフレーズを良いところでドーンと弾き倒してくれるプレイがオルタナティヴです。気持ちいい! いちばんルーズでドンと構えたスタイルがクール。

ドラムスゆかちゃんは、体全体で叩いてる。楽曲やその場のライヴの雰囲気に対して敏感に表現できる。気持ちを表現できるドラマー。

この5人がライヴで一斉に演奏すると、ドカーンとでかい音を、気持ちをぶつけてくれます。完全に丸裸の状態で。すごい綺麗な部分から、えげつないところまで。
そして、観ている側も一筋縄ではライヴが終われない感じがして、いつもスリリングで楽しいです。

最初に戻るけど、決して〈ガールズ・バンド〉として観れないと思います。ロックでパンクなライヴを観てもらえたらわかると思います。そんなの関係ないわー、ってなると思います。

本当にこれからも楽しみなバンドです。

2019年2月3日(日)
〈2nd mini album『NADA』release party〉
開場/開演:17:30/18:00
料金:当日 2,000円(+1ドリンク)
出演:ステレオガールザ・ジュアンズNo BusesMom
DJ:Hirano the tone

 


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