©2019 Disney Enterprises, Inc.

 

製作陣の第1作目に対するリスペクトを感じながら新しい曲がずっと鳴り響いています! 母と一緒にもう一度観たい!

 第1作目[メリー・ポピンズ]は55年前の作品。私の母も若かりし頃に映画館に観に行った作品で、私も大好きなミュージカル作品の一つです。

 この、名曲がたくさん詰まった第一作目の続編、「メリー・ポピンズ リターンズ」。演じる人は変わっているみたい、どういう事だろう? ドキドキしながら、開映を待ちました。

 ジャックの歌う“Underneath the Lovely London Sky”の優美な旋律とロンドンの景色にうっとりし、Overtureのこの感じ。ああ、ワクワクする!

 でも、“Can You Imagine That?”までは、私もまだ大人のふりをしていた気がする。

 この感じは、ディズニーランドに行った時に似ている気がします。入場直後は冷静を装っているけれど、いつの間にか〈きゃー! ミッキー! ミッキー!♡️〉って叫んでる私がいる、みたいな感じ。けれど、ファンタジーは入り込んで、楽しんだもの勝ちなのです。

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 音楽やアニメ、色んな表現や見せ方を現代に合わせて変えたりせずに、あえて一作目の表現の延長上にあるように見せているのは製作者の方々の一作目への深い愛ゆえなのだと思いました。音楽でもところどころで“The Perfect Nanny”“Chim Chim Cher-Ee”“A Spoonful Of Sugar”などおなじみの旋律が顔を覗かせます。それはまるで〈大丈夫、私たちもメリー・ポピンズが大好きなんだ〉という気持ちとリスペクトが伝わってくるようでした。あえて名曲たちをがっつりカヴァーせず、でもしっかり新しいテーマは試写室をでた後も頭の中に鳴り響いていました。聴きながら歩いていると、いつの間にか空を飛んでいそうなOverture。

 “The Place Where Lost Things Go”ではホロリとさせられ、まるで実際のミュージカル舞台を観ているみたいだった“A Cover Is Not The Book”(ちょっと「Chicago」も思い出し)と圧巻ダンスの“Trip A Little Light Fantastic”。

 そしてミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」での演技と歌で目が釘づけになった記憶も新しい、メリル・ストリープにまた圧倒されました。メリル・ストリープが登場すると、いつも姿勢を正して期待してしまう自分がいます。

 みんなの着ている衣装も本当に可愛かった。帰ってすぐに、母にも観に行って欲しくてメールをしました。

 日本語版でも、演じていらっしゃるみなさんぴったりでした。平原綾香さんがメリー・ポピンズ役を。芯がすっと通っていて、でもちゃんとちょっと上から目線な感じ、とてもかっこいい! 谷原章介さんのマイケルも、谷原さんそのままの優しい雰囲気がマイケルとそのまま重なってきます。もう大人だし、と照れちゃう方は、ぜひお子さんを連れて。ひとりで観に行くのもいいかもしれませんよ。人目を気にせず、ファンタジーにどっぷり身をゆだねちゃいましょう。

 目も耳も、心も満たされる、とても幸せな作品でした。


映画「メリー・ポピンズ リターンズ」
監督・製作・原案:ロブ・マーシャル
原案・脚本:デヴィッド・マギー
音楽製作総指揮・音楽監修:マイク・ハイアム
歌曲・音楽:マーク・シェイマン
歌曲:スコット・ウィットマン
衣装デザイナー:サンディ・パウエル
出演:エミリー・ブラント/リン=マニュエル・ミランダ/ベン・ウィショー/エミリー・モーティマー/ジュリー・ウォルターズ/コリン・ファース/メリル・ストリープ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン(2019年  アメリカ  131分)
©2019 Disney Enterprises, Inc.
◎全国公開中!

Disney.jp/marypoppins-returns

 


コトリンゴ
78年生まれ、大阪府出身の音楽家。99年に甲陽音楽院を卒業後、米・ボストンのバークリー音楽大学に留学。2016年のアニメ映画「この世界の片隅に」の音楽を担当し、第40回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。以降も楽曲提供、演奏参加など多岐にわたって活躍。