NYの知的アート界隈とも絡む女流シンガー/ソングライターが約3年ぶりに放つ3枚目のフル・アルバム。Jでのデビュー作(2007年)の時点でクロスオーヴァーなポップ・ソウルを歌っていたが、今回は前作以上に当初のR&B色が後退。ジェレミー・モストとの二人三脚ぶりは前作同様ながら、最近ウッドストックに移住したことで、郊外のカントリー・ロードをラジオを聴きながらドライヴしている時の景色をイメージして作ったという楽曲は、シンセ・ポップ期のティナ・ターナーを思わせる“Remind Me”を筆頭に80年代のノスタルジックなムードに溢れている。シンプルなビートにオーガニックな音色を被せたトラック上で少しハスキーなソフト・ヴォイスが表情豊かに舞う風景画のようなアルバムだ。