デビュー30周年イヤーを終え、次なるフェーズへと突入したBUCK-TICKが、5月22日(水)にダブルリードトラックシングル『獣たちの夜/RONDO』をリリースする。アプローチは違えど、両トラックともに異世界への扉を開く舞踊曲。ダークかつ、めくるめく狂乱の世界の中で踊れ、踊れ。

BUCK-TICK 獣たちの夜/RONDO Getting Better(2019)

2017年から2018年にかけて、大型野外ライヴや、オリジナルアルバムのリリース、全国ツアーとデビュー30周年イヤーを精力的に爆進したBUCK-TICKの次なるフェーズの第一弾が、長年にわたり愛され続けてきたテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディング主題歌になるというニュースは、BUCK-TICKファンのみならずアニメファンや日曜朝のお茶の間に衝撃を与えた。その“RONDO”の初オンエア日には、BUCK-TICKの世界観とアニメとの親和性に驚愕と納得の声が集まったのだが、オンエアに乗った部分は一部分であり、その全貌を耳にしたリスナーはこれまでのBUCK-TICKの楽曲とは一味違う斬新な構築美に、さらなる驚愕を覚えるに違いない。

タンゴ調のマイナーコードが艶やかな“RONDO”は、タイトルの通りサビのメロディが何度も巡る輪舞曲。妖怪の森に迷い込んでしまったようなヴァイオリンによるドラマティックなイントロダクションや、楽曲のレトロな色調を際立たせるアコーディオンの音色は、黒色すみれとのコラボレーションによるもの。

「最初にタイアップの話をもらった時に、どういう曲がいいのかなあって考えて。自分の中で〈あの曲が合うかな〉と思う、モチーフになった原曲がすでにあったんです。それを、テンポもコードもアレンジも全部変えて発展させていきました。その中で、アコーディオンとヴァイオリンは生の音で入れたかったので、黒色すみれの二人にお願いしようかなと」(今井寿)

また、BUCK-TICKのカラーを保ちながら、子供でも歌えるようなわかりやすい言葉とリフレインが幻想を誘う歌詞も印象的だ。

「日曜朝の番組だから、あまりいつも通りだとまずいのかなと考えました。今の〈鬼太郎〉は現代の社会問題なんかも取り上げられていて、時代は変わったなと思いましたね。“RONDO”は僕が小さい頃に見ていた鬼太郎をイメージして作りました。とてもしっとりとした儚い夢の物語です。自然と夢の世界に誘われるような、そういう曲になっていると思います」(櫻井敦司)

一方、5月25日(土)・26日(日)に開催されるBUCK-TICK初の千葉・幕張メッセ単独公演「ロクス・ソルスの獣たち」を彷彿させるタイトルを持つ“獣たちの夜”は、そのステージを意識して作られた。

「コンサートのオープニングをイメージして、皆さんと盛り上がれるような曲になっています。バンドからファンの皆さんに向けて、〈30年間ありがとう。これからもよろしく〉という思いを込めています」(櫻井)

この曲も“RONDO”同様、すでにあった断片をアレンジし直し、リフ中心のナンバーにしたという。

「ギターのリフでここまで押し通すというのは結構珍しい形で。コード感はベースが動くことでいい感じに出していて、俺とヒデ(星野英彦)は同じリフを延々と弾いている。レコーディングで最初から最後まで一回も間違えないで弾けたのは、この曲が初めてなんじゃないかな(笑)」(今井)

裏打ちのダンスビートを効かせたアグレッシヴかつストレートなリード曲のアレンジは、長年BUCK-TICKサウンドを支えてきたマニピュレーターの一人、横山和俊によるもの。また、カップリングにはCUBE JUICEが手掛けたヴァージョンも収録されているので、そちらも必聴だ。