この作品は初めの5秒で心に突き刺さった。コルトレーン~オーネット~ドン・チェリーが展開した世界が、模倣ではなく濃密に展開する、嬉しい一枚だ。ネット時代のジャズは広くジャンルを越えて音楽ファンを獲得したが、ここには、よく言うプリミティブな意味でのジャズが持つスリリングな瞬間が詰まっている。ジャケットやグループ名にはぐらかされると、この快感にはたどり着けない。ピアノという西洋音楽の象徴を外し、リズムと飛翔するメロディで自由な精神を体現する素晴らしき奴ら(キャット)が遊び飛び跳ねる。オスロと言えば、スペーシーなジャズやスタジオで名を馳せたが、強かなジャズもある。