レディシの最新作などでプロデュースを行っていた、ミシガン出身でLAを活動拠点とするシンガーのデビュー作。裏方からスタートし、甘い歌い口を持ち味とする個性はニーヨを連想させるが、ラッパーだった過去もある彼の滑らかなラップ・シンギングは〈R&Bを歌うドレイク〉といった形容も似合うものだ。名手レックス・ライダウトを統括役に、本人が中心となって制作した楽曲はオーセンティックソウル感覚と現行R&Bのエッジを共存させたミディアム~スロウが中心で、親しみやすいメロディーに青くナイーヴな歌声を絡めていく。“Ride Or Die”では、後見人でもあるMCライトが世話を焼くリル・ママのラップを挿入。大御所の援護を受けて新世代アーバンのフレッシュなセンスを見せた好盤だ。