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VIDEOTAPEMUSICのエキゾ世界を拡張したシンガーたち

クレイジーケンバンド PACIFIC ユニバーサル(2019)

ソウルに昭和歌謡、ラテン~ボサノヴァなどを自在に折衷してきたCKBにおいて、聴き手を未知の場へ引き込むエキゾな感覚はとりわけ重要なエッセンスであり続けてきた。そんな志向は、VIDEO­TAPEMUSICがリミックスで参加した最新作のタイトルにも見い出せるのでは? *澤田

 

折坂悠太 平成 ORISAKAYUTA/Less+ Project.(2018)

平成元年生まれのシンガー・ソングライターは、この初アルバムでジャズ的なアンサンブルにアメリカーナやブラジル音楽、日本の民謡~唱歌までを織り込んだ独自の音世界を提示。幅広いジャンルと接続する多面性を備えた、無国籍でユニヴァーサルなフォーク・ミュージックがここに。 *澤田

 

Parasol 何でもない人 LWM/AWDR/LR2(2017)

過去には〈カクバリズムの夏祭り〉にも出演した韓国のインディー・サイケ・バンド。本作でミツメやシャムキャッツらとも交流があることにも納得のシンプルなポップセンスを発揮したトリオのギタリスト兼ヴォーカリストは、その歌声で“ilmol”のサウンドが孕むメロウネスを体現している。 *土田

 

ロボ宙 SCRAPPIN OMIYAGE(2017)

スチャダラパーのライヴ・サポートなど数多の客演でも知られるヴェテランMC。この15年ぶりのソロ作では、ブラジリアンやレゲエ、ラップ古典のカヴァーなど、盟友たちが担ったカラフルなビートを取り揃え、地に足の着いたストーリーテリングで日常に寄り添うラップ作品を作り上げた。 *澤田

 

cero POLY LIFE MULTI SOUL KAKUBARHYTHM(2018)

広義のシティー・ポップとエキゾチカの交錯点から出発した3 人組は、軽やかかつ大胆な足取りで作品ごとに音楽的な冒険を重ねてきた。本作ではポリリズムも呑み込んで複雑に深化したグルーヴを、ライヴを通じて研鑽してきたアンサンブルでスムース&メロウに展開している。 *澤田

 

Murky Ghost NO BOYS ARE GODS Offtrecord(2019)

You Drive Me Crazy”にクールなラップを乗せた台湾の周穆(Murky Ghost)は、感情の起伏の小さいロウなポエトリー・リーディングで聴き手を奇怪な空気が渦巻くサイケ世界へと誘う。アーティスト名がまさに体を表していて、タブーに触れるような妖しい魅力がある。 *土田

 

odd eyes SELF PORTRAIT KiliKiliVilla(2018)

過去作にはVIDEOTAPEMUSICやceroの髙城晶平を招聘するなど、雑食的なセンスも備えるハードコア・パンク・バンド。本作ではポスト・パンク調の鋭利なリズムを採り込みながらも、オーセンティックなハードコアとして成立させているのが新しい。その姿勢は何よりも実直な言葉に表れている。 *澤田

 

MELLOW FELLOW Jazzie Robinson Deluxe Lirico/インパートメント(2018)

シンガー・ソングライター、ポロ・レイズによるこのソロ・プロジェクトは、アリエル・ピンクやマック・デマルコ以降のUSインディーの潮流に対するフィリピンからのアンサーといったところか。ソウルに由来する甘美なメロウネスが、ローファイを極めた宅録ポップに美しく滲む。 *澤田

 

mmm ほーひ kiti(2012)

ソロのほか、見汐麻衣とのデュオであるアニス&ラカンカや、アヴァン・フォークを奏でるバンド形態のマリアハトなど、さまざまなスタイルで自由なヴォーカリゼーションを操るシンガー・ソングライター。耳馴染みとしては素朴で柔らかな歌声ながら、時折ハッとするような言葉を投げ掛ける鋭さも。 *土田