不穏に蠢くベースラインとマヒトゥ・ザ・ピーポーが耳元で紡ぐモノローグ——PILを思わせる導入からして耳を鷲掴みにする5作目は、ミニマルなアンサンブルを支柱として全編を100BPMで揃え、ほぼシームレスに駆け抜けるという、バンドの大胆すぎる変貌を鮮やかに示す作品となった。トライバルなビートの反復と内田直之によるダブ・ミックスが呪術的なグルーヴを醸造するなか、時に倍速でハードコア化するバンド・サウンドがさらなる狂騒を呼び込む展開が凄まじい。A/B面のような2部構成のそれぞれの最後にはポップで美しいナンバーが配されており、特にメロディック・パンクの歌心と現行ラップのそれとが溶け合うような“Soul Material”が衝撃的。多様な聴き手を捉える力を備えた一枚だ。