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――2枚目はゾンビーズの大名盤『Odessey And Oracle』(68年)。

「これもめちゃくちゃ好きなアルバムで、同じように全曲最高、全曲シングル・カットできそうなところが魅力。10代から聴いていて、ずっとそばにいてほしいなと思う作品です。コリン・ブランストーンの声も好きで、あのため息のような、ブルー・アイド・ソウル的な声にはやられますね。ジャケも最高です」

――スウィンギング・ロンドンやサイケデリックの時代性を感じますよね。でも、タイムレスな魅力もある。

「“Time Of The Season(ふたりのシーズン)”は、いまでもCMで頻繁に使われます。熱心な音楽リスナーじゃなくても知っている曲が入っているのもいいなと」

ゾンビーズの68年作『Odessey And Oracle』収録曲“Time Of The Season”。〈ふたりのシーズン〉の邦題で知られている

――これも重量盤で、〈ハーフ・スピード・マスタリング〉による高音質盤です。

「浅い知識で申し訳ないですけど、速度を遅くしてカッティングすると音質が良くなると聞いたことがあります。溝が深く刻まれるそうです」

――もともと1枚のアルバムを、音質を向上させるために45回転盤の2枚組にしたリイシューも、最近は見かけますね。

「昨年11月にリリースされたTOWA TEIさんの『Future Listening!』(94年)も、45回転盤の2枚組でした」

――確か、パブリック・イメージ・リミテッドの『Metal Box』(79年)は、高音質を狙って45回転盤の3枚組だったはず。

「ニューウェイヴだから、ネタとしても使えそうですね」

――DJ向けということですよね。『Future Listening!』もきっとそうでしょうね。ところで、太田さんがリアルタイムではない音楽を聴くようになったきっかけは?

「中学生の頃に聴いた日本のロックですね。その頃はTHE HIGH-LOWS、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、NUMBER GIRLなんかがめちゃくちゃ盛り上がった時代で。そこから洋楽も聴いてみたくなって、その3バンドのルーツを追うようになりました。

あと、ローリング・ストーンズを大好きになって、音楽を聴く幅が広がったかも。彼らがカヴァーしているものを聴くようになったので。元ネタを探すのが、また楽しいんですよね。当時はまだYouTubeがなくて、曲名からオリジナルを探しました。ディグる楽しさを知ったのも、その3バンドやストーンズがきっかけです」