ワーナーミュージックの洋楽名盤シリーズ〈FOREVER YOUNG〉のリイシュー作品を紹介する連載! 今回はNY発のアートなレジェンドたちによる20枚!

 洋楽名盤をリイシューするワーナーミュージック発の〈フォーエヴァー・ヤング〉シリーズからタイムレスな定番タイトルを紹介していく連載です。今回は11月6日に登場する第4弾より、NYのアート・ロック〜パンク〜ニューウェイヴの流れを作り出した知的な面々の合計20タイトルをご紹介します。

 まずは、40周年を迎えた映画「ストップ・メイキング・センス」(84年)の話題も記憶に新しいトーキング・ヘッズ。デヴィッド・バーンらが結成して75年にマンハッタンのライヴハウス・CBGBでライヴ・デビューを果たした4人組バンドで、アフロビートやファンクなどを野心的に導入したリズミックな音楽性でニューウェイヴ時代に数々の名盤を残しました。今回はライヴ実況盤を含む問答無用な9タイトルに加え、メンバーのティナ・ウェイマスとクリス・フランツが結成したポップなサイド・プロジェクト、トム・トム・クラブのデビュー作もラインナップされています。

 続くテレヴィジョンもまたCBGB出演を通じてNYのシーンで台頭した、アンダーグラウンドの知性として更新に多大な影響を残したバンドです。73年にトム・ヴァーレインやリチャード・ロイドらによって結成され、ラモーンズやパティ・スミスらと並んでNYパンク・シーンを牽引するバンドとなるも、アルバム2枚を残して78年に解散。90年代に一時的に再結成して3作目を発表、00年代以降は昨年1月にヴァーレインが逝去するまでパーマネントな活動を続けていました。

 そして、そうしたNYのアーティスティックな顔ぶれの源流にいたのがヴェルヴェット・アンダーグラウンド。アンディ・ウォーホルのプロデュースでルー・リードとジョン・ケイルを輩出した最重要バンドのひとつですが、今回はコティリオン移籍後のバンド後期に残した2タイトルがラインナップ。さらにはそのルー・リードがサイアーに移籍してキャリア後半に新たな黄金期を築き上げた『New York』(89年)以降の6タイトルも注目でしょう。今月も時代の輝きに満ち溢れた忘れ難い名盤たちばかりですよ!

 

TALKING HEADS 『Talking Heads: 77』 Sire/Rhino/ワーナー(1977)

デヴィッド・バーン(ヴォーカル/ギター)、クリス・フランツ(ドラムス)、ティナ・ウェイマス(ベース)の3ピースで始まり、77年にジェリー・ハリスン(キーボード/ギター)を加えた4人組の堂々たる初アルバム。トニー・ボンジョヴィ&ランス・クインの制作で、代表曲“Psycho Killer”をはじめ、“Uh-Oh, Love Comes To Town”や“Pulled Up”など小気味良く脱力したニューウェイヴ世代のスタイルを軽やかな演奏とフリーキーな歌唱で披露している。

 

TALKING HEADS 『More Songs About Buildings And Food』 Sire/Rhino/ワーナー(1978)

ブライアン・イーノをプロデューサーに迎え、バハマのコンパス・ポイントで録音された2作目。クセのあるバーンの唱法とフランツのリズム志向がマッチして冒頭の“Thank You For Sending Me An Angel”からダンス色を強化した作りが無闇に楽しい。メロディアスな“With Our Love”やアル・グリーン“Take Me To The River”のカヴァーなど斬新な音の閃きを追求しつつ全米29位まで上昇した。528枚のポラロイドを用いたアートワークも印象的だ。

 

TALKING HEADS 『Fear Of Music』 Sire /Rhino/ワーナー(1979)

引き続きイーノをプロデューサーに迎えつつ、脱力ファンクをよりソリッドで太いグルーヴへと進化させた転機のサード・アルバム。コンガやジャンベなどパーカッシヴな躍動感を増強したアフロビート導入の“I Zimbra”ではロバート・フリップがギターを弾き、ディスコの流行を利用したような“Cities”では反復の美意識で走り抜ける。初期からの持ち味と新味のクリエイティヴィティが良いバランスで拮抗したポップな仕上がりで、全米21位を記録。

 

TALKING HEADS 『Remain In Light』 Sire/Rhino/ワーナー(1980)

バンドの最高傑作とされることも多い通算4作目にして、全米19位を記録した大名盤。イーノとの3度目のコラボ作品となり、フェラ・クティの影響やヒップホップの登場に触発されて意欲的にアフリカンなビートで脱ロックを追求しつつ、キャッチーな代表曲“Once In A Lifetime”や“Houses In Motion”なども本来の意味でのポスト・パンク的な野心を大胆に貫いている。エイドリアン・ブリューやノーナ・ヘンドリックスら助演アーティストも多数。

 

TALKING HEADS 『The Name Of This Band Is Talking Heads』 Sire/Rhino/ワーナー(1982)

メジャー・デビュー直後となる77年のエネルギッシュなライヴから、『Remain In Light』リリース後の拡大編成によるツアーのステージまで、数年にわたる実況音源を集めた2枚組ライヴ・アルバム。今回の復刻はボートラが満載された2004年のリイシュー時と同じ仕様のため、81年2月の中野サンプラザ公演の模様なども追加で楽しむことができる。「ストップ・メイキング・センス」の影に隠れがちながら各時代のパフォーマンスが確認できる重要作だ。

 

TALKING HEADS 『Speaking In Tongues』 Sire /Rhino/ワーナー(1983)

バーンとハリスンのソロ活動、トム・トム・クラブの成功などを経て、初のセルフ・プロデュースで制作された5作目。よりオーガナイズされたファンクをバンドの基盤とし、ソリッドな“Burning Down The House”はバンドにとって唯一の全米TOP 10ヒットとなったほか、ラストを飾る簡素なポスト・ディスコ“This Must Be the Place (Naive Melody)”など佳曲が揃っている。本作を引っ提げてのツアーから「ストップ・メイキング・センス」が生まれた。

 

TALKING HEADS 『Little Creatures』 Sire /Rhino/ワーナー(1985)

存在の肥大化を経てバンド・サウンドへの回帰を……というよりはカントリー〜アメリカーナ志向も絡めた簡素なポップ・ロックへの突然変異的なアプローチを見せ、全英10位を筆頭に国内外で成果を出して彼ら最高のセールスを記録した6作目。オープニング“And She Was”から明快な展開と屈託のないポップさが不思議な味わいで広がる。ナナ・ヴァスコンセロスらゲスト演奏陣も多数。なお、87年結成のLITTLE CREATURESは本作から名を取っている。

 

TALKING HEADS 『True Stories』 Sire/Rhino/ワーナー(1986)

バーンの監督する同名の映画で使用された曲のバンド・ヴァージョンを収めたアルバムで、テキサスから各地のルーツ音楽を巡る旅を体験できるコンセプチュアルな内容となっている。シングル“Wild Wild Life”や“People Like Us”など曲の輪郭がハッキリしたオーセンティックな楽曲群が揃い、当時の勢いもあって全米17位を記録するが、メンバー間の不協和音はバンドを終了へ導いていく。“Radio Head”はレディオヘッドの名の由来となった。

 

TALKING HEADS 『Naked』 Sire/Rhino/ワーナー(1988)

スティーヴ・リリーホワイトをプロデューサーに迎えて、パリで録音された8作目。ふたたびアフロやラテン色を濃くしたリズミックなファンク路線への揺り戻しを見せているが、バーンの歌唱が力強さを増して安定し、アレンジ面での洗練が中庸化を押し進めた雰囲気もあり、オリジナリティに溢れた謎の勢いのような部分は後退している。ジョニー・マー(スミス)やカースティ・マッコールら参加ミュージシャンも膨大。結果的にこれが最後のアルバムとなった。

 

TOM TOM CLUB 『Tom Tom Club』 Sire/Rhino/ワーナー(1981)

トーキング・ヘッズのティナ・ウェイマス(ヴォーカル/ベース)とクリス・フランツ(ドラムス)の夫婦を中心にタイロン・ダウニー(キーボード)、エイドリアン・ブリュー(ギター)、ウェイマスの姉妹らが名を連ねたプロジェクトの初作。キュートなラップ歌唱と電化ファンクがダンサブルに迫る人懐っこい作りで、“Wordy Rappinghood”と“Genius Of Love”は全米ダンス・チャート首位を記録。後者はサンプリングの定番ネタとしても名高い。

 

TELEVISION 『Marquee Moon』 Elektra/Rhino/ワーナー(1977)

トム・ヴァーレイン(ヴォーカル/ギター)、リチャード・ロイド(ギター/ヴォーカル)、フレッド・スミス(ベース)、ビリー・フィッカ(ドラムス)の4人組が、エンジニアのアンディ・ジョンズと共同プロデュースで作り上げた鮮烈な初作。商業的な成果は限定的だったものの、知的なギターのアンサンブルによる革新的なサウンドスケープは80年代のポスト・パンクや以降のオルタナの流れに大きな影響を与えた。ジャケはロバート・メイプルソープが撮影。

 

TELEVISION 『Adventure』 Elektra/Rhino/ワーナー(1978)

新たにエンジニアのジョン・ジャンセンを迎え、引き続きヴァーレインが共同プロデュースにあたった2作目。前作を踏襲しつつも先鋭的な質感が後退したマイルドな印象で、UKでは小ヒットしたものの成功には至らず、バンドはリリースの4か月後にあっさり解散を選ぶ。初作が凄すぎて批評的にも重視されていないが、“Ain’t That Nothin’”のシングル・ヴァージョンや“Glory”の初期ヴァージョンなどのボートラも含む今回のリイシューで改めて評価されたし。

 

THE VELVET UNDERGROUND 『Loaded』 Cotillion/Rhino/ワーナー(1970)

モーリン・タッカー(ドラムス)は産休のため不参加ながら、ルー・リード(ヴォーカル/ギター)と前作から加入したマルチ奏者のダグ・ユールが主導する格好で仕上げられた、バンドにとっての通算4作目にしてコティリオン移籍作。過去作と比べて評価は高くないが、リードのポップなセンスが発揮された“Sweet Jane”と“Rock & Roll”を収めたプロト・パンク作品として重要。スターリング・モリソン(ギター)を含む創設メンバー3人にとって最後の作品となった。

 

THE VELVET UNDERGROUND 『Live At Max’s Kansas City』 Cotillion/Rhino/ワーナー(1972)

70年の8月23日にマクシズ・カンサス・シティにて行われたパフォーマンスの模様を収めたライヴ盤で、もともとはメンバーの友人が個人的にカセットテープに録音していたもの。契約満了のために作品化された不健全(?)な一枚ながら、同年11月の『Loaded』リリース時点でルー・リードがバンドを脱退していたことを思うと、その直前の貴重な記録であることは間違いない。今回のリイシューではバンドの代表曲を網羅した15曲のセットが楽しめる。

 

LOU REED 『New York』 Sire/Rhino/ワーナー(1989)

70年代初頭にソロ・デビューして成功を収めるも80年代に入ってからはカルト人気を得るに止まっていた孤高のロッカーが、サイアーに移籍して復権した通算19作目。フレッド・マハーを共同プロデューサーに迎えてホームタウンのNYを独特の空気感で詩的に描き、歯切れのいい簡素な演奏でクールに聴かせる。なかでも“Dirty Blvd.”は当時新設されたモダン・ロック・チャートで首位を獲得した。元ヴェルヴェッツのモー・タッカーもパーカッションで参加。

 

LOU REED, JOHN CALE 『Songs For Drella』 Sire/Rhino/ワーナー(1990)

かつてヴェルヴェッツを追い出す格好になったジョン・ケイルと21年ぶりにスタジオで再会した連名作で、87年に逝去したアンディ・ウォーホルに捧げられている(ドレラとは彼の愛称)。リードが歌とギター、ケイルが歌と鍵盤とヴィオラをそれぞれ担当して全曲を共作、レコーディングも二人だけで敢行。静謐で濃密な空気の中で成熟しながらも熱の漲ったパフォーマンスを展開する本作の手応えが、93年のヴェルヴェッツ再結成に繋がった。

 

LOU REED 『Magic And Loss』 Sire/Rhino/ワーナー(1992)

自身が活動するきっかけだったというソングライターのドク・ポーマス、昔からの親友リタという両名の死に追悼の気持ちを捧げたソング・サークル・アルバムとしての20作目。ヴィム・ヴェンダース監督作「夢の涯てまでも」に提供されていた“What’s Good (The Thesis)”、ジミー・スコットの歌唱が印象的な“Power And Glory (The Situation)”など全編に落ち着きと風格を滲ませた仕上がりで、全英チャートではキャリア最高の6位を記録した。

 

LOU REED 『Set The Twilight Reeling』 Sire/Rhino/ワーナー(1996)

アンソロジーの発表やヴェルヴェッツ再結成で過去に区切りをつけ、新たなフェイズに入っての21作目は、生涯のパートナーとなるローリー・アンダーソンに捧げられた一枚。パワフルな“Egg Cream”で幕を開け、クールな“NYC Man”、前年に亡くなったスターリング・モリソンを追悼する“Finish Line”なども交えつつ、恋人の過去の恋愛に嫉妬する姿を見せた“Hookywooky”などかつてなく人間味に溢れた表情も表に出している。活力に満ちた意欲作。

 

LOU REED 『Ecstasy』 Sire/Rhino/ワーナー(2000)

レギュラーな作りのソロ名義アルバムとしてはこれが最後となった22作目。ハル・ウィルナーを共同プロデューサーに迎えてパーソナルな経験や記憶、人間関係を掘り下げたコンセプト作品で、過去の不貞やアルコールの誘惑、マゾヒズム、老いとセックス、狂気などについて起伏のあるサウンドでアグレッシヴに歌っている。18分の大曲“Like A Possum”もあったりしてやりたい放題。ジャケは実際にエクスタシーに達している表情を撮影したという逸話も……。

 

LOU REED 『The Raven』 Sire/Rhino/ワーナー(2003)

ロバート・ウィルソンとの演劇作品「POEtry」を元にしてエドガー・アラン・ポーの短編小説や詩を言葉と歌で表現したコンセプト・アルバム。ローリー・アンダーソンやブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ、ウィレム・デフォー、スティーヴ・ブシェミ、オーネット・コールマンらを招いており、アントニー(アノーニ)を迎えてリメイクした“Perfect Day”、デヴィッド・ボウイと久々に絡む“Hop Frog”など、こうした共演が多くはなかった人だけに聴きどころも多い。