ジェイムス・テイラーの5年振りのアルバムは、彼が幼い頃から慣れ親しんだアメリカン・スタンダードに取り組んだ作品となった。アルバム全体の音の骨格は、ジェイムス・テイラーと本作のプロデューサーとしても名を連ねるギタリストのジョン・ピザレリで制作され、アコースティックギターを中心にアレンジされた極上の音に仕上がった。キャリア50年に裏付けられた彼の温かみのあるヴォーカルは、誰をも抱擁する力を持っており、多くのアーティストがアメリカン・スタンダードを取り上げた作品をリリースしているが、本作は間違いなくその名盤の1枚と成る作品である。

 


こういうのが聴きたかった!と思わず声が出てしまった、JTのポピュラー・スタンダード集。洗練されたコードワークによって定番の味がグッとオシャレ度を増し、老舗ならではの独自製法がより際立つというか、彼ならではの魅力が抜群に引き立つ作品となった。弟のリヴも十八番とする“Never Never Land”などホッコリさせられる名演がズラリ。ジョン・ピザレリやジェリー・ダグラスといった名手のプレイも温かい彩りを添えている。