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アーティストによる、アーティストのためのレーベル〈レインボー・ブロンド〉

――前作『Lean On Me』(2018年)から今作『No Beginning No End 2』への最も大きな変化のひとつとして、ブルーノートから独立したということがあると思います。なぜブルーノートから離れることに決めたのかということからお話いただけますか。

「『No Beginning No End』のときも今回もそうだけど、根底にはアーティスティックな自由の精神が横たわっているんだ。

ターリはレインボー・ブロンドのことを〈インサイド・アウト・レーベル〉、つまり裏も表も見えるレーベルだって言い表してくれたけど、アーティストによって経営されるアーティストのためのレーベルって言い換えればいいかな。

今回のアルバムに参加してくれたミュージシャンやエンジニアの多くが、たまたまだけど大きなレーベルを離れて自分たちでインディペンデントな活動を始めていた。そういうふうに自由な状況にいるメンバーが集まってできた作品だったから、これはブルーノートではなくレインボー・ブロンドから出すべきだなと思ったんだ」

――インディペンデントで自由な活動をするにあたって、参考にしたレーベルはありましたか? たとえばホセさんが以前参加したタブラ奏者スファラの『Alien Ancestry』(2013年)は、ジョン・ゾーンが運営するツァディクからリリースされていましたよね。ツァディクも独立精神の高いレーベルだと思いますが。

「いきなりディープな話になったね(笑)。そうだな、でもやっぱりブレインフィーダーとワープが自分にとってはとても大きな存在だったと思う。ワープはそれこそデジタル時代に先進的な電子音楽をユニークな売り方で打ち出していてすごいと思ったな。

あとは同じイギリスのXLとか、アメリカだとサブ・ポップとかマタドールとか……基本的にインディペンデントなものはすべて好きだよ。それにブルーノートだってかつてはインディー・レーベルだったと言えるよね」

――たしかにそうですね。しかしいまやブルーノートはジャズの名門でもあります。独立するにあたって相当な覚悟も必要だったのではないかと思います。

「実はターリはもともとブルーノートで働いていたんだ。だから彼女はマーケティングのノウハウを知っている。ブライアン・ベンダーはエンジニアとして僕のアルバムをプロデュースしてくれたこともあった。ブルーノート時代からアート・ディレクションを自分たちでやっていて、デザイナーのヘイデン・ミラーやフォトグラファーのジャネット・ベックマンたちを含めて、ある種のコレクティヴのようなかたちでやってきたんだ。

ずっと自分たちのことは自分たちで取り組んでいたから、ブルーノートを離れてインディー・レーベルでやっていくこともすぐに決断できたよ」

――ブレインフィーダーもワープも、そのレーベルならではの音楽的特色がありますよね。レインボー・ブロンドはどのようなレーベル・カラーを打ち出していこうと考えていますか?

「カラー? レーベルのロゴはブラックとイエローだよ。いや、半分冗談だけど半分本気で言ってるよ(笑)。ブラックは闇、ダークな不透明さで、反対にイエローはポジティヴィティーや楽観的な感覚、それこそカリフォルニアの太陽みたいなイメージがある。その2つが同居することで、太陽と月、光と影といった相反する2項が生まれる。このアイデアは、ベルリン在住のヘイデン・ミラーが思いついたんだ」