デーモン・アルバーンの同名プロジェクトとは関係ない、ジョージア州サヴァンナ育ちのシンガー・ソングライター。もともとはタイ・トリベットやカーク・フランクリンとの共演歴もあるゴスペル・ラッパーだったが、コンヴィクトと契約して世俗音楽に転向。数年前から制作が伝えられていたこのメジャー・デビュー作ではバイストームに居を改めつつ、温かくも苦み走った歌唱の染み渡るオープニングからエイコンの影響は明白だろう。先行ヒットの“Beautiful”を筆頭に大半を手掛けるジェリー・ワンダのほか、D・マイル、アンドレ・ハリスらが、主役のワイクリフ+ジョン・レジェンド的な側面を巧みに引き出し、ソウルやレゲエを調理してアーシーな質感で包み込んでいる。味のある語り口に浸れる美しい一枚。