4月10日に誕生日を迎えるNegiccoのNao☆が“菜の花”以来、2年振りにソロ・シングル“ベスト☆フレンド”をリリースする。マツキタイジロウ(SCOOBIE DO)が作詞作曲を手掛け、SCOOBIE DOが全面参加したクールなパーティー・チューン“ベスト☆フレンド”、Negiccoに“Never Ending Story”に提供したKeishi Tanakaによるソウルフルなミディアム“rainy~next season~”。長く歌っていくことを想定して作られたという2曲についてはもちろん、ソロ活動への憧憬、人生のステップを進めながらステージに立つ続けていくことへの思いなど、話題は多岐に及んだ。
新しい自分の活動がスタートする
――そもそも今回のソロが出る経緯はどんな感じだったんですか?
「2年前に生誕記念で出した“菜の花”の続編みたいな感じで〈ソロ・シングルを出したい?〉って訊かれて。去年は、ああいう感じだったので」
――ああいう感じというのはもちろん……。
「変なふうに言っちゃった(笑)。結婚発表をさせていただいて。ありがたいことにお祝いムードになったんですけど、それは予想してなかったことで」
――結婚発表でどういう反応があるか予測が立てられないから、去年の春先はスケジュールをあまり入れていなかったんですよね。
「結果、多くの方にお祝いしていただいて、そのあと生誕祭もやらせてもらって」
――複雑ながらも(笑)。去年はそういう意味で慎重だったからシングルを作ることもなかったと。
「慎重だったわけではないですが、今年2年振りにシングル出させていただきます、という感じです」
――グループで動くのとは気持ちが違いますか?
「私はまだソロ活動らしい活動は始めてないんですよね。かえぽ(Kaede)は去年からソロを始めますとちゃんと発表してから始めましたよね。ああいうふうに、ちゃんと始めてから意識が変わったり、違う気持ちになるのかなって思います」
――2年前にシングルを作ったときは生誕記念の企画だったから、ソロ活動という意識でもなかった。
「そうですね。こういう取材とかも新潟の雑誌2社くらいだったので、本当に記念の作品という感じでした」
――ということは、今回のリリースに関しては前回とは少し違う位置づけではある?
「裏テーマとして〈Next Season、Second Season〉というのがあって。新しい自分の活動がスタートするという気持ちでシングルを出します、っていう形で」
――かえぽのようにリリースを重ねたり、各地でライブをしていくという可能性もあるということですか?
「やりたいですねぇ」
――去年から始まったソロ歌手としてのかえぽの活動はどう見ていました?
「自分はちょっと落ち着いた感じになったんですけど、かえぽを見ていて……やっぱりいいなとは思っていました。歌が一番好きなので、もどかしい部分もありつつ。でも、いまの自分はそのタイミングじゃないんだろうなと思っていて。じつは去年の秋にソロどうするっていう話はゆっきー(ディレクターの雪田容史)から言われてはいたんですけど、2020年の4月からちゃんとスタートしたいですという話をしました」
――もともとソロ志向はありました?
「どうだろう。いままで、Negiccoは3人じゃなきゃダメって言われることが結構あったんですよ。最近はふたりでもいいですよとかひとりでもいいですよっていうのも増えているんですけど」
――以前は3人揃わないと仕事ができなかった。
「例えば、イベントの記者会見に声を掛けていただいたときも、ひとりが学校で行けませんということになったらナシになったりして。だから3人での活動以外はないんだろうなと思っていました。ソロをやれたらいいなと思ったことはあったかもしれないけど、まさかやれるとは思ってなかったです」
――ソロという発想自体がそもそもなかった。
「それこそ記念でちょっと歌わせてもらえるくらいかなと思ってました。Negiccoをやる前から数えると20年間くらい芸能活動的なことをやってきて、ソロ・シングルを出せることがいかにすごいか、どれだけありがたいか、夢だったかっていうのはよく考えますね」
――結婚があったことで、ほかのふたりが独自の活動をしていくことになったけれど、それを羨ましいなという思いもあったというのがなんとも複雑というか。
「自分のなかで二の次という選択肢がなくて、全部Negiccoを中心に考えてきたんです。歌をやりたくて選んできた。でも、人生のすべてを芸能活動に捧げてきたけれど、自分がソロをやってみたいなというタイミングは通り越してしまって(笑)。夢だったことを先にやっている人がいると、自分が好きな道を選ばせてもらったにも関わらず……っていう変な矛盾があったという。やっぱりもどかしさはありました。ソロで出せるのいいな、でも私はタイミングがなぁ、みたいな。いまは私じゃないよなと思うようにしてました」
――ただ、不思議なもので、結果的にはその1年後にはこうしてソロで作品をリリースするに至ったわけで。そのきっかけを作ったのも他ならぬ自分自身だったということですよね。
「きっかけは……フジテレビ! やばい。怒られる(笑)」
――誰も怒らないでしょ(笑)。
「きっかけというか、本当に色んなタイミングが重なってこうなった感じがします。ぽんちゃ(Megu)もかえぽも、アイドルがやってこなかったことをやってくれた、自分たちもいずれは後に続いていく道を作ってくれた、というようなことを言ってくれていて。先駆者になりたいみたいな気持ちで結婚するのも違うとは思っていたんですけど、最初に結婚するということはすごく恐かったです。でも、どのみち誰かが通らないといけないんですよね。メンバーの誰かが結婚するというのもそうだし、そのタイミングでほかのメンバーが違うことを始めさせてもらえたのもすごくありがたい環境だなって思います」
――止まらずに変化していることがすごいなと思います。
「しかも、かえぽがどんどん自信がついていくのがわかって。特に一緒にステージに立っているときにそう思います。やっぱりソロをやれているということが大きいんだろうなって。ドスンと大きく見えるし、立ち居振る舞いとか発言も変わってきた。強みになっているんですよね。歌って、ちょっとしたことでヨレちゃうんですよ。自信がないとそれが歌に出ちゃう。そういう力強さ、自信は大事だと思うんです」
――というのを近くで見ていて感じる。
「はい。頼もしくなりました。私も“ベスト☆フレンド”のレコーディングのあとにわからない自信みたいなものがついたんです。それはいままでに感じたことがないもので。そういう気持ちが結構影響して、歌がブレないようになってくれたりとか、経験値がステージに出るのかなって思ってます」
――長くやってきてもそういう発見がまだまだあるんですね。
「歌って果てしないなって思います。どれだけ練習しても完璧がない。毎日やってないと不安になるものなんですよね。曲によっては歌いかたを変えないと成立しないですし。かえぽもひとりでやることになったときにすごい練習したと思います。ソロとNegiccoの歌とではまた楽曲のテイストも違ってくるじゃないですか。Negiccoの風味はしつつ、やっぱり違う。だから、これまでにやってこなかった練習方法とかも採り入れないといけない。そういうのもこれからの私たちの強みになっていくのかなと思います」
――グループでやっているとそれぞれの役割をまっとうすることが大切ですよね。
「そうなんです。声質も全員違いますし。ぽんちゃの声は私には出せないし、かえぽの歌は私には歌えない。ぽんちゃみたいな歌を歌えたらな、かえぽみたいな歌を歌えたらな、みたいに思うこともすごくあるんですよ。自分にないものを求めちゃうというか。でも逆に、自分の声は自分にしかないものだから、その良さを見つけて極めたいなと思ってます。いただいた楽曲に合わせていくことも大事ですけど、自分に合う歌を見つけていくことも大事なのかなって。で、それをまたNegiccoに返せたらなって思います。ぽんちゃがラジオをやっていて、ラジオからNegiccoを好きになったとか、かえぽのソロ作品からNegiccoに入ってくる人もいるので、私もそういうふうに返せるのが理想的だなと思っています」