5. Octavian feat. Take A Daytrip, Obongjayar & Santi “Poison”
田中「今週最後の一曲は英サウス・ロンドン、キャンバーウェルのラッパーであるオクタヴィアンの“Poison”です。彼は何度か〈PSN〉に登場している常連。今回の新曲は、フィーチャーされている3人に注目してほしいですね」
天野「テイク・ア・デイトリップはデンゼル・バティスト(Denzel Baptiste)とデイヴィッド・ビラル(David Biral)からなるNYのDJ/プロデューサー。いちばん有名なのはシェック・ウェス(Sheck Wes)の“Mo Bamba”(2017年)で、リル・ナズ・X(Lil Nas X)の“Panini”(2019年)など、ヒット・ソングを多数手がけている売れっ子です。〈Daytrip took it to 10 (Hey)〉というプロデューサー・タグを聴いたことのある方も多いはず」
田中「オボンジャヤール(あるいは、オボンジェイアール)はナイジェリア出身の音楽家です。エヴリシング・イズ・レコーデッドやユセフ・デイズとの共演でも知られ、歌やラップ、ポエトリー・リーディングを織り交ぜたヴォーカル・スタイルが特徴。2月に発表したデビューEP『Which Way Is Forward?』は、かなり高い評価を受けています」
天野「あのEPは傑作ですよ! アフロビート、レゲエ/ダブ/ダンスホール、ヒップホップがミックスされていて、ものすごい音楽が展開されています。もう一人のサンティもナイジェリア人のシンガーで、売れ線のアフロポップ/アフロビーツとはちょっとちがう、内省的かつセンシュアルな表現の音楽家ですね」
田中「そんな4組が集ったこの曲は、アーバンなアフロビーツですね。オクタヴィアンはアンゴラ系なので、彼のアフロ性を打ち出した曲だと言えそうです。ナイジェリアに旅行に行ったというオクタヴィアンがルーツに思いを馳せ、この曲に結実したのでは、と思いました」
天野「クールだけどアツい一曲ですね。それにしても、世界はコロナ禍で大変なことになっていますが、素晴らしい音楽がどんどん発表されています。今週は話題のビッグ・シングルが多すぎて、選ぶのが大変でした。5曲だけでは一週間の話題をお伝えしきれません。トラヴィス・スコットとキッド・カディによるザ・スコッツ(THE SCOTTS)のデビュー曲、先週リリースされたプレイボーイ・カーティ“@ MEH”、ボン・イヴェール“PDLIF”、ミッシー・エリオット“Cool Off”、TDEのファン感謝週間として発表されたアブ・ソウルやリーズンの新曲、ジュース・ワールド没後の新曲“Righteous”、リル・ベイビー“All In”などなど……。すべて〈PSN〉のプレイリストに入れていますので、ぜひそちらでチェックを!」